政府と随意契約したスーパーなどによる備蓄米の販売が31日、首都圏など一部地域でスタートした。総合スーパーを展開する「イトーヨーカ堂」は、東京・大田区の「イトーヨーカドー大森店」で販売を開始。
家計に優しいコメを手に入れ、マダムの頬も緩みっぱなしだ。午前9時に来店して備蓄米を購入した大田区在住の市澤外志子(としこ)さん(75)は「お米大好きだし毎日食べるので、ちゃんと買えて良かった。どんな味がするのか楽しみです」と満面の笑み。夫と2人で暮らしているといい「お米大好きだし、毎日食べるの」と大事そうにコメを抱きかかえた。
同店では、開店30分前となる同9時30分に500袋分の整理券を配布すると前日に発表。この日、店の前には朝早くから大勢の客が列をなし、午前10時の開店から約30分で完売した。この日は雨が降り続く悪天候だったが、店の従業員によると先頭の客は同5時半に来店していたという。
コメは5キロを2160円(税込み)で販売。最近は高騰が続き、5000円を超えるケースも増えていたことから、市澤さんは「2000円と5000円とでは全然違う。浮いたお金でおいしいおかずとか、お肉が買える」と喜びもひとしおだった。
イトーヨーカ堂の山本哲也社長は、大森店で開店前に報道陣の取材に対応。「コメが高騰する中、少しでも安いコメを早く提供したいという思いで準備をした」と語り、6月1日から中京、関西地区を除く全国の店舗でも順次展開するとした。しばらくの間は、備蓄米を求めて多くの人がスーパーを訪れそうだ。(松下 大樹)