◆第92回日本ダービー・G1(6月1日、東京競馬場・芝2400メートル)

 第92回日本ダービー・G1に、昨年JRAから兵庫競馬に復帰した小牧太騎手(57)が、ダービーには過去9度騎乗した現役ジョッキーの視点で本紙初予想した。

 ダービーはJRAにいたとき、9度も乗せてもらいました。

印象深いのはスマイルジャックで2着だった08年です。あの馬で、あれだけうまく乗れたのは後にも先にも1回だけ。折り合いがついて、直線で抜け出して「勝った!」と思ったけど、外からディープスカイがすごい脚で伸びてきて…。あの2着で本当の意味でダービーの重みを知りました。地方に戻り、今回、JRA予想の依頼を受けましたが、予想する立場で見てもワクワクするレースですね。

 本命はサトノシャイニングにしました。頭の高い走りで、僕が乗った中では馬の格好がジャングルポケット(JRA移籍前の02年阪神大賞典で2着)に似ている印象です。ハミ受け(※)が悪かったにもかかわらず01年のダービー(角田晃一騎手)で勝ったのですが、対照的にサトノはハミ受けが良さそう。身体能力も高く、ジャンポケ以上の可能性を秘めているかもと感じます。

 粗削りだけど、きさらぎ賞の脚を見て感じたのは、やっぱり走る馬。5着だった皐月賞は入れ替わりの激しい難しいレースで、いいレースをしたのがミュージアムマイル1頭だけ。他馬は力を出し切れませんでした。

 皐月賞と違ってダービーは淡々と流れ、しまい勝負になるとみていて、大事なのはビュンと切れる脚を持っていること。僕が大好きな(武)豊君は大外枠から腹をくくって、しまいの脚を生かす競馬をするでしょう。東京の芝2400メートルでのポイントは折り合い。馬への当たりが柔らかく、ドウデュースで勝った昨年のジャパンCのように、しっかり辛抱させることができます。いつも落ち着いており、慌てない。だからダービーを6度も勝つことができる。短期免許の外国人騎手が活躍していますが、対抗できるのは日本のレジェンドの豊君だと思っています。

 対抗はクロワデュノールで、スムーズに運べば一番力がある馬。まじめですごく考えて乗る北村友一君が、どんな競馬をするのか楽しみです。(兵庫県競馬騎手)

 (※)馬が集中して鞍上の手綱からの指示を受け入れられる状態になっていること。

 ◆小牧 太(こまき・ふとし)1967年9月7日、鹿児島県生まれ。57歳。

85年に地方の兵庫・曽和直栄厩舎所属から騎手デビュー。04年JRAに移籍し、24年8月に兵庫復帰。地方通算3596勝、JRA911勝。08年桜花賞(レジネッタ)などJRA・G1・2勝。弟は兵庫の毅調教師。長男はJRA騎手の加矢太。160センチ、52キロ。

【小牧太騎手の印】

◎(18)サトノシャイニング

○(13)クロワデュノール

▲(7)ミュージアムマイル

★(17)マスカレードボール

△(3)エリキング

△(2)ショウヘイ

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