◆明治安田J1リーグ▽第19節 G大阪0―1鹿島(31日・パナスタ)

 鹿島は前半戦最後の一戦を勝利で飾り、2017年シーズン以来、8季ぶりとなる首位ターンを決めた。

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 DFキムテヒョンの周りに、歓喜の輪が出来た。

鈴木優磨、小池龍太が祝福に駆け寄り、キムテヒョンと胸を突き合わせた。その中心で、韓国人DFははにかんだような笑顔を見せた。

 前半9分、相手DFラインがガタガタになった一瞬の隙を見逃さず、レオセアラが背後へ抜け出す。「トレーニングからずっと要求されていたこと。ボールを持った時に、レオ選手の動きは見ていました」。左足のフィードをレオセアラに合わせ、先制点をアシストした。

 防戦一方となった後半も、植田直通とともに強さを発揮。次々とクロス、シュートをはね返し、ゴール前に立ち塞がった。「勝利に貢献したい気持ちがすごく強いので。今日は少し貢献できたかな」。謙虚に試合を振り返ったが、これで先発出場5試合目で4勝目。そのうち、クリーンシート(無失点)数は3試合を誇る。

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 鳥栖から加入した今季開幕当初は植田、関川郁万の牙城を崩せず、守備固めでの起用がメインだった。関川の負傷離脱により、第15節でようやく初先発の機会を得た。それでも、準備はしていた。

 「苦しい時間だととらえれば、苦しい時間だったかもしれません。ただ、やっぱりチャンスというのは、自分のタイミングではなくチームのタイミングで来るもの。自分が思ってもみないタイミングで来る。常にいい準備をしていました」

 この「チャンスは自分のタイミングではなく―」の部分は、2018年にACL決勝進出に伴う過密日程を戦っていたクラブに対し、ジーコ氏が控え選手に発破をかけた時に用いた表現だ。伝統は受け継がれ、選手たちのハートに火をつけている。

 関川に続き、この日負傷退場した安西幸輝にも長期離脱の可能性が出てきてしまった。台所事情は苦しい。キムテヒョンは「すごく心苦しい。自分としても、パートナーを失う形になるかもしれない」と厳しい表情を浮かべたが「やっぱり鹿島というチームは『誰が出ても鹿島』じゃないといけない。

みんなで一致団結して、乗り越えていきたい」とキッパリ。チームに欠かせない存在になりつつあるDFは胸を張った。

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