鹿島は8季ぶりに前半戦を首位で折り返した。成績は13勝1分け5敗。

開幕戦の黒星発進や3連敗、負傷者の続出がありながらも、2位京都に勝ち点6差をつけてシーズンの半分を終えた。

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 首位に立つチームとして、敗戦数「5」は多い。5位だった昨季は「9」だったので、昨シーズンを上回るペースで負けていることになる。

 その中で特筆すべきは引き分け数「1」だ。この唯一のドロー試合も、後半45分に追いついたホームの浦和戦(1△1)。知念慶の負傷で実質10人になりながら、同点後も勝ち越しを狙う姿勢で相手ゴールに襲いかかったことは強調したい。消化不良によるドロー試合は一度もなかった。ちなみに昨季のドロー数は「11」。その多くが「勝ちきれない」展開だった。

 鬼木達監督の意識改革によるものが大きい。ホーム無敗の連続試合記録が継続していたことを、うまく利用した。「勝てた試合でも、リスクを恐れて攻めなかったことがあったのでは?」と選手に問いかけた。

「負けなければいい」という考え方を改め「勝ちにいく」姿勢をチームに強く求めた。川崎で4度のリーグ制覇を経験した指揮官の言葉には、説得力があった。

 引き分けで2ポイントがもらえるなら、従来の思考でもよかったかもしれない。しかし、引き分けで得られるのは1ポイントのみ。「0」のリスクをおかしてでも「3」を奪いにいく姿勢は、すでにチームに浸透している。

 一方で、敗戦数「5」のうち、最低でも引き分けに持ち込むべき試合もいくつかあった。開幕戦の湘南戦(0●1)、力負けした広島戦(0●1)の試合後、鬼木監督はそのような後悔を口にしている。引き分け数の少なさは、必ずしも喜ぶべきことではない。

 ただ、両手(もろて)を挙げて万歳という戦績ではないものの、チームの価値観/意識が変わり、なおかつ発展途上であることを示す勝利、引き分け、敗戦数だと言える。

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 8季ぶり首位ターンとなったが、前回2017年は最終的に2位だった。昨季の首位ターンも町田だった(12勝3分け4敗、勝ち点39)が、2巡目で相手の対策に苦しみ、最終成績は3位に終わっている。

 首位ターンという事実は、何かを保障してくれるものではない。

むしろ、相手に最大級に警戒されていくことになるだろう。対策を上回る実力を示さなければ、優勝は遠い。

 残り19試合。乗り越えるべき壁は、今後も鹿島の前に現れるだろう。勝ち点3の追求で勝利を積み上げ、悲願の優勝へと歩みを進める。(鹿島担当・岡島智哉)

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