慶大、４点差追いつく粘りも早慶戦に連敗　収穫と課題の春　早大エースは「一体感のある良いチーム」と称賛 (2025年6月1日)

◆東京六大学野球春季リーグ戦最終週第２日▽早大６―５慶大（１日・神宮） スコアボードに刻まれた点差はわずかに１点。慶大は４点のビハインドを追いつき、粘ったが、最後に守備の乱れもあり、勝ち越された。試合後の堀井哲也監督（６３）は、選手たちを責めることはしなかった。 「勝ちか負けしかないので、勝ち切れなかったということに尽きます。（守備のミスは）一生懸命やった結果。反省は反省で、来季に向けてはあるが、今日は選手が頑張ったということ。この春のシーズンは精一杯やった結果だと思います」 スタメンバッテリーは同じ３年生の沖村要投手と吉開鉄朗捕手（ともに慶応）。指揮官は「（正捕手の）渡辺憩は１年生からマスクを被っていて、いっぱいいっぱいになった感じもあった。吉開もしっかりしたキャッチャー。沖村とは高校時代にバッテリーを組んでいる。新人戦でも組んでいた。その辺を買った」と説明。沖村は３回２死満塁、前田健伸（４年＝大阪桐蔭）にグランドスラムを被弾した。力投も、１球に泣いた。吉開は二塁打を含む２安打とバットでも貢献。攻守に奮闘した。 ４回からは左のエース・渡辺和大（３年＝高松商）が３番手で救援。最速１５０キロのストレートを武器に、劣勢から流れを呼び込んだ。「今日は本当によく投げた。秋へ好材料」と堀井監督。打線も呼応し７回には４番・中塚遙翔（２年＝智弁和歌山）の２点二塁打で同点に。１点を追う９回には１番の今津慶介（３年＝旭川東）がこの日４四死球目で出塁すると、代走の丸田湊斗（２年＝慶応）が二盗を成功させ、反撃ムードを加速させた。「グリーンライト。彼の判断」と指揮官。２死満塁と好機を作り、三塁側応援席も盛り上がったが、そこまでだった。 ベンチやブルペンから戦況を見守り、９回２死一、三塁から救援した早大のエース・伊藤樹（４年＝仙台育英）はこの日の慶大について、こんな印象を口にした。 「勢いのあるチーム。チャンスにしていった時とか、得点した時の一体感をすごく感じます。一体感のある良いチームだなと思いました」 今春は５勝７敗２分けの勝ち点２で５位。満足している部員は一人もいないだろう。随所に光は射している。夏の鍛錬を経て、したたかに勝ちを重ねるチームに進化できるか。晩秋には神宮の杜に、勝利の塾歌を響かせたい。（加藤 弘士）