◆ラグビー リーグワン・プレーオフ決勝 BL東京18―13東京ベイ(1日、東京・国立競技場)

 昨季王者でレギュラーシーズン(RS)1位のBL東京(旧東芝)が、同3位の東京ベイ(旧クボタ)を18―13で下して4季目のリーグワンで初の2連覇を達成した。連覇は前身のトップリーグ(TL)時代の2009~10年シーズン以来15季ぶりで史上最多の3度目。

RS1位のチームが優勝するのは初めて。右手骨折のSOリッチー・モウンガがトライとPGを決める活躍で、36歳のNO8リーチ・マイケル主将が引っ張る“狼軍団”が再び黄金期到来を告げるタイトルを手にした。

 体がピンと伸びたリーチの胴上げに、5万人の国立が温かい笑いに包まれた。体幹を固めて舞った昨季の再現。2連覇した主将の“特権”だったが「軽くスベったんじゃないかと思う。次から真面目にやります」。笑いを誘いつつ、一息ついた。「連覇というプレッシャーがすごくて、勝った瞬間ほっとしました」。本音と共に優勝を実感した。

 圧巻の攻防だった。前半8分、SOモウンガが個人技で先制トライを挙げ、8―6の後半7分にはWTB森が追加点。今季RS最多得点の攻撃力を見せると、守ってもRS最少失点の東京ベイのお株を奪う接点の激しさで、後半32分までノートライに抑えた。

フィジカルバトルで「負けた」と東京ベイのルディケHC。「接点無双」を掲げるチームの真骨頂だった。

 危機を主将が救った。準決勝の神戸戦(31〇3)でモウンガが右手を骨折。試合前日までボールを触れなかった。「レントゲンを見た時に、正直無理だと思った」とリーチ。それでも、治療に効果があるとされる酸素カプセルに入るモウンガに、3日連続で付き合って全力サポート。腫れが引いて試合に間に合った司令塔は、優勝が決まったグラウンド上で「まず見たのは、マイケルさんの顔でした」。チームへの忠誠心は、リーチと共にあった。

 主将就任後、リーグワンでは初の2連覇。今季はRS全18試合に出場し、準決勝と決勝もフル回転した。タックルの数(303回)、成功数(269回)共に2位に50回以上の差を付けるダントツ1位でベストタックラーに選ばれた。

グラウンド内外で柱となった36歳は試合後の会見で、ブラックアダーHC(53)に“注文”した。

 「今年は若い選手の出番が少なかった。たくさんいい選手がいて、出る番がなくて日本代表になるチャンスがない。来年は、もっと若い選手が出てほしい」

 連覇直後に在籍14年のチームの、代表の将来へ提言したリーチに対し、隣に座る指揮官は、笑顔でサムズアップで応じた。最後までチームを思うキャプテンの姿だった。(大谷 翔太)

 ◆東芝ブレイブルーパス(BL)東京 1948年創部。愛称の「ルーパス」はラテン語で「狼座」の意味。トップリーグ時代は、2004年度から3連覇を含む優勝5度。本拠は東京・府中市でホームは味の素スタジアム。チームカラーは赤で「猛勇狼士」を掲げて接点での強さが武器。マスコットは「ルーパス君」。主将は日本代表のリーチ・マイケルで、トッド・ブラックアダー・ヘッドコーチは19年夏より現職。

 〇…BL東京の日本代表LOワーナー・ディアンズ(23)が、交際4年の恋人「れいらさん」にサプライズの公開プロポーズ。試合後、歓喜の渦の中、グランド上で恋人の前に立ち「Will you marry me?(結婚してくれるかい?)」。左手薬指に指輪をはめ、抱きしめた。返事は「イエス」で見事トライに成功。お相手の名前は「僕が読めない漢字なので」と「れいら」と発表した23歳は「忘れられない日になりました」と二重の喜びをかみしめていた。

東京ベイ RSで最少失点と鉄壁の守備を誇ったが、RS最多得点のBL東京に打ち砕かれた。6―15の後半32分。SH藤原からCTB立川とつなぎトライ。POで被トライなしの相手に意地を見せ、一時は1トライ差まで迫ったものの、力尽きた。ファウルア・マキシ主将(28)は「悔しい思いを忘れずこの舞台に来シーズン帰ってこられるように頑張る」と気持ちを奮い立たせた。

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