バレーボールSVリーグ女子のSAGA久光スプリングスは、21年東京五輪日本代表監督の中田久美氏が新監督に就任すると2日、発表した。中田氏が同チームの指揮を執るのは10季ぶり。

 中田氏は「かつて私にとって人生の大きな転機となったこのチームに、再び戻ってこられたことに、深いご縁と感謝の気持ちを抱いております。その分、今の私にできるすべてを、このクラブに注ぎたいと強く思っております」などとコメントした。

 中田氏は1984年ロサンゼルス五輪で日本を銅メダルに導くセッターとして活躍。2012年からは久光製薬(現SAGA久光)の監督に就任。SVリーグの前身、Vリーグでは3度の優勝に導くなど、久光の黄金時代を築いた。16年から日本代表の監督を務め、東京五輪では1次リーグ敗退に終わった。久光は21~22年シーズンでVリーグ優勝と全日本選手権Vを果たして以来、タイトルが獲得できておらず、中田氏にチーム再建を託すことになった。 

 中田氏のコメント全文は以下の通り。

 「スプリングスで指揮を執るのは、実に9年ぶりとなります。かつて私にとって人生の大きな転機となったこのチームに、再び戻ってこられたことに、深いご縁と感謝の気持ちを抱いております。その分、今の私にできるすべてを、このクラブに注ぎたいと強く思っております。同時に、選手一人ひとりが『このチームでプレーすること』に誇りを持ち、自分らしく挑戦できる環境を整えることも、私の大切な使命のひとつです。

 意思を持って前に進める集団であること。それが、SAGA久光スプリングスの本当の強さに繋(つな)がると信じています。SAGA久光スプリングスは、長きにわたり日本女子バレーボール界を牽引してきた、誇り高きクラブです。その歴史と伝統を大切にしながら、時代にふさわしい新たなチーム像を、ともに描いていきたいと考えています。

 また、長くスポーツの現場に関わってきた中で、競技や立場を問わず、女性アスリートの活躍の場や発信力が、もっと広がっていく余地があると感じてきました。SAGA久光スプリングスがその可能性を切り拓くような存在となり、女子スポーツ全体の価値を高めていく一助になれたらと願っています。

 SVリーグも2年目を迎え、女子バレーボール界全体の成長が一層注目される今、SAGA久光がその先頭に立ち、チームとしての価値をより高めていけるよう、日々努めてまいります。そして、佐賀という地域に根ざし、皆さまに愛され、応援していただけるクラブであり続けられるよう、これからも一歩一歩、真摯に歩んでまいります。今後とも、変わらぬご支援・ご声援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます」

 

◆中田 久美(なかだ・くみ)1965年9月3日、東京都出身。59歳。「天才セッター」と呼ばれ、15歳で全日本初選出。81年、日立入社。

84年ロサンゼルス五輪銅メダル、88年ソウル五輪4位、92年バルセロナ五輪5位。現役引退後は、イタリア・セリエAのコーチなどを経て、2012年に久光製薬(現・SAGA久光)監督に就任。4年間でVプレミアリーグ3度優勝。16年に久光製薬総監督に就任し、翌年に退任。16年から女子日本代表監督を務め、21年東京五輪に出場。

 

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