◆第75回安田記念・G1(6月8日、東京競馬場・芝1600メートル)

 第75回安田記念・G1(8日、東京)の「考察」前哨戦編はダービー卿CTの勝ち馬に注目した。

 今年の安田記念は例年とは少し違う点がある。

過去10年で2勝、2着5回の好成績を残している前走ヴィクトリアマイル組の不在だ。そこで、トロヴァトーレが勝ったダービー卿CTにスポットを当てたい。このレースからのローテーションでも2頭(15年モーリス、16年ロゴタイプ)の勝ち馬が出ている。

 高速決着になる傾向が強いレースでもあり、今年の勝ちタイム(Bコース替わり初日)の1分32秒4は特筆すべき数字ではない。ただ、2ハロン目から全て11秒台と緩まず、後続も離されずに一団での競馬となり、数字以上にタフな流れ。先行馬が壊滅したのも納得だ。

 トロヴァトーレは内枠で前に壁をつくれて折り合えたことと、直線で迷わずラチ沿いを攻めたモレイラ騎手の好騎乗も大きかった。だが、デビューからの最高馬体重だった508キロでの勝利で、パワーアップしていることは明らか。ダービー卿CTが重賞初勝利で、続く安田記念も制した15年のモーリスと似た成長曲線を描く。

 ここまでマイル戦は5戦4勝、2着1回と高い適性がある。安田記念と同じ舞台の3走前のキャピタルSでは、ウォーターリヒトと鼻差の2着。コースが替わっても問題はない。

初戦、2戦目を連勝し、昨年の報知杯弥生賞で1番人気に推されていた素質馬。本格化ムードの今なら、G1でも軽視は禁物だ。(山下 優)

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