◆テニス ▽全仏オープン(2日、フランス・パリ)

 【パリ2日=吉松忠弘】4大大会初出場、大会推薦出場で世界ランキング361位のロイス・ボワソン(フランス)が、シンデレラ・ストーリーをばく進中だ。1回戦で第24シードに勝ったのに続き、この日は同3位のジェシカ・ペグラ(米国)に3-6、6-4、6-4の逆転勝ち。

フランス女子としては8年ぶりのベスト8進出となった。4大大会での世界361位の8強入りは、2017年全米で同418位のカネピ(エストニア)がベスト8となって以来、最も低い世界ランクとなった。

 息詰まる最終セットの攻防だった。しかし、ボワソンは、最初に訪れた最大のチャンスで、思い切り自分の武器であるフォアにかけた。回り込んで、振り切ったフォアが、ペグラを追いやった。その瞬間、「本当に緊張した。何と言ってか分からない。信じられない」と、両手でガッツポーズを繰り出した。

 全く無名の22歳だ。「2週間前に、ベスト8に進むことを言われても、絶対に信じなかった」。昨年の5月にフランスで行われたツアー下部大会で優勝。その後の昨年の全仏で推薦出場枠が与えられた。

 しかし、左ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷のけがで、大会直前に辞退。その後、約9か月、実戦から離れ、今年の2月に復帰した。「十分に治っていた。自信を持ってプレーできた」。

 いやな思いもした。今年の4月の大会で、対戦した英国選手が、「(相手の)体臭がきつくて、デオドラント(脱臭剤)をつけて」と主審に頼んだという。後ほど、英国選手は謝罪に追い込まれる。ボワソンは「脱臭剤のメーカーがスポンサーにつくかも」と、いくつかのメーカーの脱臭剤を持った自分をSNSに投稿。笑い飛ばした。

 次戦は、昨年4強で同6位のミラ・アンドレエワ(ロシア)が相手だ。再びトップ10との対戦になる。「また、大変なラリーを強いられると思う。

でも、私のスタイルは決して変えない」。これまで歩いてきたテニスを貫き通す考えだ。

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