スポーツ報知では1993年正月の特別版で、巨人軍の長嶋茂雄監督(当時56)と、「カズ」こと三浦知良(当時25)=読売ヴェルディ=の対談を行った。サッカーのプロ化、プロとしての流儀、巨人の今後についてなどを2人が語り合った紙面を再録する。
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◆サッカーの監督に興味?
カズ「ウチの選手たちは、自分でいうのも何ですが、言いたいことをいいますよ。ボクやラモス選手は監督に対してだって、気に入らないことがあったら堂々と文句を言いますからね」
長嶋さん「監督に対しても、ですか。野球だったら、すぐに造反なんて記事が書かれそうですね。機会があったら、私もサッカーの監督をやってみたいな。選手に試合場外へつまみ出されるかもしれないけど(笑)」
◆新人として入団する松井秀喜氏への期待
長嶋さん「残念なことに、巨人については全体的に優等生的な選手が多いから…。まあ、そういう意味では、ドラフト1位で獲得した松井クンが巨人の中にあっては、異色な存在の選手として成長してくれるのではないかと期待をかけているところです」
カズ「彼みたいに将来性のある選手はぜひ、シーズン開幕から使ってほしい。長嶋さんのように偉大な選手になってほしいですね」
◆長嶋さんへの憧れ、カズのような選手の待望
カズ「長嶋さんが引退したのは、確か、ボクが小学校2年生のときだったと思います。そのころから野球が好きでしたし、長嶋さんには、ものすごく、憧れていました。今でも、伯父などから言われるんですよ。長嶋さんのように、ここで決めてくれ、という時に必ず決めてくれるような勝負強いプレーヤーになれ、ってね(笑)」
長嶋さん「それは、うれしいなぁ。いや、私も三浦クンのように勝負どころでキチッと点を決めてくれる選手が巨人に欲しいですよ」
◆プロの流儀
長嶋さん「やっぱり、お客さん本位というか、つまらない試合のときなんかは、つまらないゲームだな、なんて1人思ったりして。それじゃ、何かお客さんを喜ばすことをしなければならない、と考えながらプレーしていましたからね」
カズ「ボクも、同じです。
◆サッカー人気に刺激
長嶋さん「(サッカーのプロ化に)個人的には大賛成ですよ。一部には、プロ野球の人気が奪われるんじゃないかと不安がっている人もいるようですが、そんなことはない。子供たちに夢を与えるという意味でも、日本でプロスポーツがもっともっと増えていいはずだと思っています」
カズ「ボクもプロスポーツはたくさんあった方がいいと思っています。スポーツを好きな人たちには、野球だけじゃなくて、サッカーの観戦も楽しんでほしいですし、そういう環境をボクたちがつくっていきたい」