◆2026年北中米W杯アジア最終予選▽第9戦 オーストラリア1―0日本(5日・パース・スタジアム)

 久々に味わう敗戦の中で、わずかな収穫が、パリ五輪世代2人の“新戦力”が見せた芽吹きの可能性だ。代表デビューの右ウィングバック(WB)MF平河悠と、2試合目のシャドー(1トップ後方)MF鈴木唯人は、ともにフル出場して最後までゴールを目指した。

しかしW杯出場権のかかったオーストラリアの堅守の前に得点は奪えず。平河は「初めてだろうが、もう日本を背負っているんで関係ない」と悔しがった。

 輝きは見せた。今季は英2部相当を戦い抜いた平河と、デンマーク1部ブレンビーで12得点の活躍を見せて、ドイツ1部フライブルクへのステップアップを果たした鈴木唯。運動量とスピードが持ち味で、小柄ながら馬力のある平河は、前半37分に強烈なミドルシュートも放ち存在感を発揮。またセンスあふれるプレーが魅力の鈴木唯は、前半28分にハーフウェー付近で縦パスを受けてターン。そのままシュートまで持ち込んだが、枠を捉えることはできず「もっとできたことがある」と満足はなかった。

 森保ジャパンの右WBでは堂安と伊東、シャドーでは南野が今回招集外。平河と鈴木唯はともにまだまだ伸びしろがあり、次戦のインドネシア戦(10日)でもチャンスを得る可能性は十分だ。ただ実績と信頼を積み重ねてきた“常連組”をおびやかすためには、好プレーだけでは足りない。「これから試合を重ねて、もっと成長できるように」と平河。W杯まであと約1年。

ゴールやアシストという数字を残したものだけが、先輩たちへの挑戦権を得ることになる。

 ◆平河 悠(ひらかわ・ゆう)2001年1月3日、佐賀・鹿島市生まれ。24歳。佐賀東高から進んだ山梨学院大で頭角を現し、21年に町田の特別指定選手。23年より町田に正式加入。同年はJ2で35試合6得点でJ1昇格に貢献し、24年はJ1で18試合2得点5アシスト。同年7月にブリストルC(イングランド2部)に移籍。24年パリ五輪日本代表。利き足は右。171センチ、70キロ。

 ◆鈴木 唯人(すずき・ゆいと)2001年10月25日、神奈川・葉山町生まれ。23歳。

市船橋高(千葉)から20年に清水入りし、プロ1年目に30試合出場。23年1月にフランス1部ストラスブールに期限付き移籍し、同年8月にデンマーク1部ブレンビーに完全移籍。来季からドイツ1部フライブルクでプレーする。今季はリーグ戦30試合出場11得点。右利き。175センチ、70キロ。

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