OSK日本歌劇団のトップスターに昨秋就任した翼和希(つばさ・かずき)のお披露目公演「レビュー 春のおどり」が14日、大阪松竹座で開幕する(24日まで)。NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」(23年度後期)に出演し、脚光を浴びた翼。

お披露目公演を控え、トップコンビを組む同期の娘役トップスター・千咲(ちさき)えみとともにインタビューに応じ、息ぴったりの掛け合いで抱負を語った。(古田 尚)

 ―2人の出会いは。

 翼「研修所ですね」

 千咲「OSKに入るまで歩んできた道、歌劇に出会ってからの道も一緒で」

 翼「要するに、仲良しです!」

 ―同期が相手役。

 翼「めちゃくちゃ心強いです。トップの先輩なので(笑)。こうした方がいいとか、私が気づかないことも言ってくれてありがたい。そのおかげで舞台に対して集中できることもあるので」

 千咲「全部を肯定してくれるのはすごく感じています。イメージ通りに相手が動いてくれないこともあると思うんですけど、それを受け入れてくれるのはすごいなって。この感覚をみんなに味わわせてあげたいぐらいです」

 ―ミスもカバーできる。

 翼「何かアクシデントが起きた時に、アイコンタクトでなんとかなる。一緒の時間を過ごしてきて、同じ悩みを抱えて解決してきたのは生きているのかなって思います」

 千咲「たとえ失敗しても受け入れて、楽しんでいるというか」

 翼「うまくいった時には、マイクが入ってない舞台上でしゃべっています(笑)。千咲は笑った状態で口を動かさずにしゃべるのがうまいんですよ」

 ―下級生時代の2人は。

 翼「先輩が稽古場の一角で歌稽古をされていて、ついたてがあったんです。私と千咲はそれを聞きながらノリノリで小躍りしていました」

 千咲「研修生の時も、ポーズとかずっと上級生のマネをしていました。それこそ歌劇ごっこです。いつかやりたいという思いでしたね」

 翼「私は(娘役のみで構成されるため)絶対に入れないOSKのユニット『チェリーガールズ』の振り付けを全部覚えました。お稽古場で先輩が脱がれた巻きスカートを回収していたり」

 千咲「最近その時のお稽古のDVDを頂いて。私たちが最下級生で、真っ黒のお稽古着で上級生の衣装を2人で片付けている様子が映っていました」

 ―いよいよ松竹座での公演が始まる。

 翼「まずは劇場に足をお運びいただきたいというのが一番。ブギウギをご覧くださった方には、その100年後の世界と思って来ていただいても楽しめるかなと思います。軽い気持ちで一度来てください」

 千咲「これがOSKだぞという作品。新しい時代というか、メンバーもガラッと変わりました。お客様にも止められないぐらいの勢いで臨みたいと思うので、皆さんもあとは全力で楽しむ準備をして劇場にお越しください」

 〇…「レビュー 春のおどり」は、和物レビューショー「翔 ~Fly High~」(構成・演出・振り付け=花柳寿楽)と、洋物レビューショー「The Legendary!」(作・演出=中村一徳)の2本立て。ラストは1930年から歌い継がれる「桜咲く国」を、華やかな桜パラソルで歌うのが恒例となっている。

翼は「脳トレになるので、お客様もぜひミニパラソルでご参加ください」と呼びかけた。

 ◆翼 和希(つばさ・かずき)4月15日、大阪・枚方市生まれ。2011年、OSK日本歌劇団研修所に89期生として入学。13年に入団。22年、第42回たけふレビューで大劇場公演初主演。23年、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で初代トップスター・橘アオイ役を演じ、注目される。昨年9月、トップスターに就任。今年2月、芸術活動で大阪文化の振興に貢献した人物に贈られる「咲くやこの花賞」を受賞した。

 ◆千咲 えみ(ちさき・えみ)1月1日、東京・調布市生まれ。2011年にOSK日本歌劇団研修所に89期生として入学。13年に入団。21年4月、舞美りらとともに娘役トップスターに就任する。

24年8月の舞美の退団後、唯一の娘役トップスターとして翼和希を支える。

 ◆OSK日本歌劇団 1922年4月、大阪・天下茶屋に演者が女性だけの劇団として「松竹楽劇部生徒養成所」が設立。笠置シヅ子、京マチ子らを輩出し、宝塚歌劇団(1914年創立)、松竹歌劇団(SKD、28~96年)と並ぶ3大少女歌劇の一つとして発展。03年に近鉄の支援打ち切りで一時解散。有志が存続させて、04年に「New OSK日本歌劇団」の名称で活動を再開。07年にワンズカンパニーの経営下になり「OSK日本歌劇団」と改称。09年に独立し、「(株)OSK日本歌劇団」として運営開始。

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