OSK日本歌劇団のトップスターに昨秋就任した翼和希(つばさ・かずき)のお披露目公演「レビュー春のおどり」が14日、大阪・道頓堀の大阪松竹座で開幕。NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」(23年度後期)にも出演したスターが新時代の幕開けを告げた。

 午前の部の開演を前に、同期の娘役トップスター・千咲えみ(ちさき・えみ)とともに浴衣姿で大阪松竹座前に立って「おはようございま~す!」とあいさつ。「まだご観劇を予定されてないご通行の皆様ぁ! 是非足を止めてOSKにご興味を持っていただけましたら幸いでございま~す!」と外国人観光客も驚く大声で笑いを誘った。

 午前の公演を終えると「ホッとしたというのが正直な感想」と息をついた。本拠地の階段を降りて「OSKが生まれた劇場には特別な思いがあります。大阪での初舞台は大阪松竹座ですし、OSKが生まれたのも、ここ大阪松竹座。今まで違うポジションで立たせていただいたものとはやはり違う」と気を引き締めた。

 ステージ第一部は日本物の「翔 Fly High」。タイトル曲の作詞(歌詞原案)にも挑戦した。

 〽異なることを恐れずに羽ばたきたい 翼 この名前に込めた想いが私をここに導いてくれた 血と汗と涙 先輩たちの魂が刻み込まれたこの舞台へ

 「自分の芸名の由来を歌詞にしていただくのは、何だかちょっと恥ずかしい気もしたんです。でもお客さまの前で歌うことで、先輩への感謝の気持ちだったり、支えてくださるお客さまのお気持ちをいただいて『頑張っていきます』と決意を込めることができました」

 第二部は宝塚歌劇団の演出家・中村一徳氏作・演出のショー「The Legendary!」。こちらのメイン曲「ヒーロー伝説」の「今 幕が上がる」という歌詞も「舞台の幕が上がるだけじゃなく『新体制になったOSKの新しい幕が上がる、という意味合いも込めている』と中村先生におっしゃっていただいた。その気持ちも相まって、責任を持ってやっていかないといけない」。

これから翼を広げていく―。こちらもファンへの決意表明となっていた。

 開演前のあいさつ時は曇天ながら雨は降らなかった。しかし翼らが降壇した瞬間に、バケツをひっくり返したような大雨。新トップスターの神通力が空に届いたようにも思えたが「私、嵐を呼ぶんです。初日はだいたい雨。シンガポール(1月のお披露目特別公演)も地下鉄が止まったほどです」と“雨男”ぶりに苦笑いだ。観劇したファンは口々に「楽しかったね~」と笑顔で傘を差しつつ家路に向かった。大阪松竹座のセンターで桜パラソルを振った翼。傘の船出がサマになっていた。

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