宝塚歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社・阪急阪神ホールディングス(HD)の定時株主総会が17日、大阪市内で開かれ、株主1512人(昨年は2035人)が参加した。
序盤に「宝塚歌劇団におけるガバナンス体制の強化及び改革の取組」について映像で説明。
引き続き株主の質問時間となった。
ある男性は、議長を務めた嶋田泰夫阪急阪神HD社長兼グループCEOから指名されずにいると、声を荒らげて質問機会を求めた。その様子を見た嶋田社長が男性を指名すると、わざわざ会場の最前列、議長席の前まで移動して発言した。
「一昨年の現役劇団員の急死以来、株価は低迷したまま。チケットの不正転売問題も浮上した。株式会社化される宝塚歌劇団の取締役の顔ぶれにも問題がある。急死問題については一部劇団員が責任を取っていない」(要旨)
などと劇団員の実名を挙げながら指摘した。
阪急電鉄の奥田雅英常務取締役は、急死問題について「劇団員と話し合いを持った。基本的には悪意を持って行ったとは言えない。そうした行為をハラスメントだと気づかなかった劇団に全ての責任がある。生徒には言動に配慮するよう指導を行っている。
また、別の男性株主は
「タカラジェンヌを養成する宝塚音楽学校の入学資格を現行の中卒~高卒の4年間ではなく、高卒年度とその翌年の2年間にすべき。最低限、高卒程度の知識は必要だし、2つ年下の先輩、2つ年上の後輩の関係はいじめの要因になりかねない」
「宝塚歌劇団の株式会社化は営利第一主義に陥り、タカラジェンヌの負担増になりかねない。ひいては、いじめの要因になりかねない」(以上要旨)
と提案、質問した。
これに対して奥田常務は音楽学校については「生徒募集に関し、時代や環境の変化によって学校案内を見直すなど、よりふさわしい形への検討を常に重ねている」と説明。株式会社化については「会社法を始めとして法令順守を意識した透明性の高い組織運営を行う。改革の実効性をさらに高めていきたい」と話した。
さらに嶋田社長兼グループCEOは、音楽学校について「中卒の生徒は、在学中に通信課程による高卒資格を取得できるカリキュラムを用意している。大学、大学院で学ぶOGも多い」と補足。