デザイナーでアーティストの篠原ともえが17日、大阪市中央区の大阪歴史博物館で開催中の「正倉院 THE SHOW―感じる。いま、ここにある奇跡―」のメディアセッションに出席した。
同展示会は正倉院1300年の物語を、最新のデジタル技術を駆使した手法で紹介するイベント。アーティストとして、水瓶「漆胡瓶(しっこへい)」をモチーフとしたドレスを制作した篠原は、約9000点の中から選んだ理由について「圧倒的な存在感ですね。何かしらの形で、このシルエット、オリエンタルな魅力を形にしたいというのが最初のアイデアの着想でした」と明かした。
現代アーティスト4人が、正倉院からインスピレーションを受けて新作を手がけるプロジェクトに参加。篠原は「一番楽しみにしていたのが、この宝物がどのようにして作られたかを知るということでした。当時の職人たちの思いも、私はその宝物から聞かせてほしかった」と笑顔。模様をひもといていくと、植物、動物、自然、生命が刻まれていることに感銘を受けたという。さらに「とっても興味深いことを発見したんですけど、動物も昆虫も雄と雌のつがいで刻まれていたことに気づいて、聖武天皇と光明皇后の愛の絆を感じることができたのがとてもうれしかったです」と声を弾ませた。
正倉院宝物をファッションへと見事に昇華させた。金属部分は真鍮(しんちゅう)を用いており、火であぶったり、薬剤に漬けたりして、時間の経過を表現するための試行錯誤を繰り返した。約400のパーツで着想から約1年かけて完成。篠原はドレスについて「私の想像を皆さんに届けたいので、宝物の慈しみの物語を、ぜひのぞき込んで楽しんでいただきたいです」とアピールした。
すでに館内の展示物も見学している篠原は「これから、東京にも巡回しますが、全国、そして海外へ展開していくことを期待しています」とほほ笑んだ。同展では協賛のタケモトピアノによる「ピアノの日リサイタル」が、7月6日に開催される。
同所では「正倉院 THE SHOW」は同所では8月24日まで。東京では9月20日から「上野の森美術館」で開催される。