フィギュアスケート女子で、世界選手権を昨年まで3連覇した坂本花織(25)=シスメックス=が20日、26年2月にミラノ・コルティナ五輪が行われる来季限りでの現役引退を表明した。この日は、地元の神戸市内に開業した「シスメックス神戸アイスキャンパス」のオープニングセレモニーに参加。
突然の発言だった。来季への意気込みを問われた坂本は、さらりとリンクを離れると表明した。「自分の競技人生は(残り)1年を切っているという感じ」。26年ミラノ五輪が集大成と言及した昨夏からさらに踏み込み、現役から退くと明言した。関係者によると、スポンサーなどに考えを伝えた上で、この日の発言に至った。大きな決断にも「めっちゃスパッと決めた。今やなみたいな」と笑顔を交え、明るく経緯を語った。
力強いスケーティングを持ち味に、18年平昌五輪6位、22年北京五輪は個人で銅、団体は銀と活躍し、22~24年の世界選手権を3連覇。日本のエースとして、世界のトップを走り続けてきた。だが、今年4月に25歳を迎え「中途半端に2年、3年とやるより、いい区切り。次(30年五輪)を目指すとしたら29歳なので、不可能」と年齢が引退の決め手となった。
来季の演目について、SPは「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」、フリーは「愛の讃歌」などを使うと説明した。「愛の讃歌」は憧れの鈴木明子さんが最後のシーズンで使用した曲。「絶対、自分が引退するシーズンには使いたかった」と強い思いを込めた。
出場すれば3度目となる五輪を見据え、「団体も個人も銀(メダル)以上取れたら」と満面の笑みで目標を掲げた。その前に五輪切符獲得が第一関門となる。代表選考を兼ねる全日本選手権(12月)など気は抜けないが、新設リンク「シスメックス神戸アイスキャンパス」は坂本の出身中学からも近い。市内では初の通年型リンクとなり、練習拠点は整った。「この上ない環境。これで成績が出なかったらやばい」と大舞台への強い味方となりそうだ。
引退後は指導者を目指すという。「神戸から世界に羽ばたく選手をさらに出していきたい」。
◆坂本の今後の主な予定 10月17日から始まるグランプリ(GP)シリーズはフランス杯(同17~19日)とNHK杯(11月7~9日、大阪)にエントリー。ポイント上位6人に入れば、12月4~8日に行われるGPファイナル(愛知)に進出する。例年12月に開催される全日本選手権にも出場。3枠の代表に選ばれれば、来年2月のミラノ・コルティナ五輪で3大会連続五輪出場を果たす。同3月には世界選手権(チェコ)が行われる。
◆坂本 花織(さかもと・かおり)2000年4月9日、神戸市生まれ。25歳。3歳でNHK連続テレビ小説の「てるてる家族」を見て憧れ、4歳で競技開始。17~18年シーズンにシニア転向。