◇明治安田J1リーグ 第21節 名古屋1-1清水(21日・豊田スタジアム)

 清水エスパルスはアウェーで名古屋と1―1で引き分けた。後半19分、ミスからカウンターを許し先取点を奪われるも、同43分、途中出場のFW千葉寛汰(22)がCKから頭で同点ゴール。

J2藤枝への育成型期限付き移籍から急きょ復帰したストライカーのJ1初得点でしぶとく勝ち点1を積み上げた。2試合連続ドローのチームは次節、28日にホームで柏と対戦する。

 下部組織育ちのストライカーが窮地を救った。敗色濃厚な後半43分、清水は右CKの好機を迎える。MF中原輝(28)の浮き球に反応した千葉はニアで頭をぶち当てた。「一発狙っていたし、相手の前に入れたのが良かった」。ネットに吸い込まれたボールを確認すると、腹からほえた。プロ4年目、待望のJ1初ゴールが値千金の一撃となった。

 誰にも負けない覚悟を固めていた。昨季途中から藤枝に移籍。今季も“武者修行”の期間を延長してシーズンを迎えたが、故障者が続出するチーム状況を受け、今月上旬に緊急復帰した。「心残りもあったけど、自分にとってはチャンス」と言い聞かせた。

守備やポストプレーなどストライカーのいろはを伝授し、「つかみ取ってこいよ」と送り出してくれた藤枝の須藤大輔監督(48)にも恩返ししたかった。

 前期の名古屋戦は国立で0―3。この日は前半42分、DF高橋祐治が相手との接触で負傷交代するアクシデントも発生したが、最後まで諦めなかった。秋葉忠宏監督(49)は「胸を熱くする一体感を示せたことを誇りに思う。千葉? 点を取ることに命を懸けている選手。このゴールのために悔しい思いをしてきた」と手放しで褒めた。次も前期で敗れている柏戦。しぶとくつかんだ勝ち点1を糧に後半戦初白星をもぎ取ってみせる。

(武藤 瑞基)

 清水FW千葉寛汰(後半43分、同点ゴール)「この瞬間のためにやってきた。自分にとって大きな一歩」

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