◆陸上◇東海高校総体 最終日(22日・三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場)

 女子走り高跳びで大澄侑奈(浜松商3年)が1メートル64をマークし、東海初制覇。2年連続の全国高校総体(7月25日開幕・広島)切符をつかんだ。

女子5000メートル競歩は堀伊吹(静岡サレジオ3年)が25分8秒21で初V。女子3000メートルは大谷芽以(浜松市立3年)が9分43秒61で連覇し、男子やり投げでは、小出月波(つくば、常葉大菊川3年)が61メートル71で2位に入った。

祈りは通じた。女子走り高飛びで大澄が、1メートル61に3回目の挑戦で成功した。わずかに揺れたバーは地面に落ちずに、とどまった。1メートル61は8人がクリア。失敗すれば、9位以下が確定して全国出場を逃す大ピンチ。「とにかく踏み切りだけを意識しました」。土壇場で息を吹き返した。

 地獄からよみがえった。続く1メートル64は一発でクリアした。ただ一人、成功して東海の頂点に立った。

「東海で一度も優勝したことがなかったので、うれしいです」。連覇を狙った県総体では2位で悔し涙を流したヒロインが、とびっきりの笑顔を見せた。

 自然条件に苦しめられた。強い向かい風で助走に悩まされた。「(風で)体が起こされて思うような推進力が出なかった」。最初の1メートル50は一発でクリアしたが、1メートル55も1回目はミスした。「先生から余計なことを考えず、踏み切りを強くすることだけを意識するように言われた」。雑念が消え、ひとつのことだけに集中したのがVにつながった。

 仲間の思いを背負って戦った。同じ種目で3年間高め合ってきた同級生の松田央(3年)が、静岡県総体で敗退。全国でも上位候補だった男が、けがの影響でまさかの記録なしに終わった。「常に一緒に練習してきた。

自分のことのように悔しかった」。今回の遠征にも帯同してサポートしてくれた“戦友”から「自信を持っていければ大丈夫」という励ましで力がよみがえった。

 昨年は予選敗退に終わった全国総体。「まず1メートル67を跳んで決勝に残りたい。そこから上を目指します」。崖っぷちから全国切符を手に入れた大澄が、松田の分も広島で戦う。(塩沢 武士)

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