【記者の目】日本バレーボール協会は25日、臨時理事会を開き、川合俊一会長の再任を決めた。ただ、海外出身選手の国籍変更を伴う問題で、同協会の手続きに不手際があったことで、同協会は揺れは収まっていない。

 国際バレーボール連盟(FIVB)は2023年6月の理事会で、代表歴のある選手は、国籍を変更しても、所属協会の変更を認めないと規定を改訂。90日間の猶予期間を設置したが、その通知のメールやFIVBのホームページ(HP)を協会は見落とす失態を演じた。このため、この選手は元の国でも日本でも代表に選ばれない状況に置かれている。

 日本協会は昨年も、男子日本代表登録メンバーに一度登録した帰化選手が、FIVBの指摘により外さなければならないこともあったが、これも、FIVBの規定を理解していれば、選手を“被害者”にしなくてすんだことだと思う。選手を守るのが協会の最も大事な役目なのに、それができていないのが実情だ。

 私は現在の日本協会が、あまりにもFIVBとの意思疎通が取れていないことを危惧する。1980年代から90年代にかけて、当時の日本協会の松平康隆会長が、FIVBの副会長を務めていた頃は、審判委員会やルール委員会などの主要なセクションに日本人を送り込み、ルール変更などは最速で情報が入ってきていた。いち早く、そのルールを使っての国内大会を開いたり、ボールの変更に際しては、その反発力やその打ち方で、どうボールが変化するかの研究も行っていた。

 だが、この数年、各委員会から日本人はほとんどいなくなっている。このため、日本協会は情報をFIVBのHPから初めて知ることも多くなっている。FIVBとの関係をおろそかにしてきた。日本協会が今回新たに現役選手から柳田将洋(東京GB)を理事に選び「組織改革」の第一弾として、FIVBとの連携を密にする渉外担当チームを協会内にも設置すると表明した。

選手の声を拾う役割を担うことになる柳田には、FIVBとのパイプ役をと期待しているが、FIVBとの関係構築は容易なことではない。今回の国籍問題も、FIVBと連係が取れる協会関係者がいれば、HPを見る以前に理解できたはずだ。その人脈が構築できない限り、また同様な問題が起こりかねない。(久浦 真一)

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