【甲子園】愛媛勢倒せばＶ吉兆　東洋大姫路・渡辺拓雲主将「東洋大姫路の歴史に恥じない戦いを」 (2025年8月4日)

東洋大姫路・渡辺拓雲内野手（３年）が「１１Ａ」と書かれたくじを引くと、会場がざわめいた。甲子園常連の智弁和歌山や花巻東と同じ激戦区。相手には、２００４年センバツ初出場Ｖの済美が飛び込んできた。勝っても強敵との対戦が続くが、母校を１４年ぶりに夏の甲子園に導いた岡田龍生監督（６４）は「情報がないので、これから試合のビデオを見たりして考えたい」と、まずは済美対策を練る。 履正社（大阪）の監督時代は、１９年夏に初めて夏を制覇した。「１９年も１試合目から想像以上だった。５本もホームランを打つなんて夢にも思わない」と、１１―６で打ち勝った霞ケ浦（茨城）との１回戦を振り返った。「下馬評通りかは分からない。高校生、甲子園は分からない」と、愛媛王者を迎え撃つ。 今夏は木下鷹大投手（３年）を中心に、守り勝つ野球で勝ち上がってきた。「木下以外の投手が自信を持って投げられるように、野手が点を取ってあげたい」と渡辺拓。エースだった阪下漣（３年）が今春センバツで右肘のじん帯を損傷し、投手不足が課題となっている。指揮官は「阪下は昨日（２日）シート（打撃）で投げた。甲子園期間中に準備ができれば登板はある」と、復帰を示唆した。 同校が初優勝した７７年は準決勝で同じ愛媛勢の今治西と対戦。延長１０回の末に１―０で破っており、勝てば吉兆だ。渡辺拓は「東洋大姫路の歴史に恥じない戦いを」と９３年の育英以来、３２年ぶりの兵庫勢日本一へ闘志を燃やした。（藤田 芽生） 〇…４９校の大トリで出場を決めた０４年センバツＶ校の済美が“アウェー勝利”を狙う。初戦の相手は兵庫代表の東洋大姫路に決定。田坂僚馬監督（３８）は「松山商との（愛媛大会）決勝も歓声がすごい中で勝てた」と、相手への応援が優勢な中での勝負は経験済みだ。同校を創部３年で甲子園初出場初優勝に導いた上甲正典元監督に生前、甲子園勝利の秘けつを尋ねると「選手たちを信じられるかどうか」と返ってきたという。恩師の教えを胸に、日本一の吉報を天国へ届ける。 ◆１９７７年夏の東洋大姫路 ７６年のセンバツ４強を経て、夏は３年ぶりに出場。初戦（２回戦）の千葉商、続く浜田（島根）に連続完封勝利を収めて初の夏８強入りを果たすと、準々決勝の豊見城（沖縄）戦は打線が１３安打８得点と奮起した。今治西（愛媛）との準決勝では、後に阪急入りする松本正志が２回戦に続く完封で１―０勝利。東邦（愛知）との決勝も１０安打を浴びながら１６２球で延長１０回を１失点に抑えた。最後は１―１の延長１０回、安井浩二が「バンビ」と呼ばれた１年生右腕・坂本佳一から大会史上初の決勝戦サヨナラ本塁打（３ラン）を放つ劇的Ｖだった。