◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 スポーツのみならず、競争において実力差を埋めるハンデは盛り上がりに大きく貢献する。代表的なのがゴルフや将棋だろう。

競馬の世界でもハンデ戦が行われている。

 競走馬は斤量と呼ばれる決められた重量を背負い、レースを争う。通常は馬ごとの獲得賞金や性別、年齢によって規則的に制定されている重さに、実力に応じた差をつけるのがハンデ戦だ。

 JRA主催の中央競馬では昨年、全体の約6%にあたる190競走で行われた。ハンデをつけているのはハンデキャッパーと呼ばれるJRA職員で、現在は11人が在籍。美浦トレーニングセンター公正室の奥田裕之・上席ハンデキャップ役は「各競馬場につき3人が担当し、それぞれの馬の評価を打ち合わせて決めています」と制定方法を解説する。

 気になるのは基準。馬の能力はどのように測っているのだろうか。同公正室の清水洋昭ハンデキャップ役は「レースのタイム、着差、馬の状態、コース適性等全てをひっくるめて検討しています」と総合的に判断していると強調する。

 それゆえハンデキャッパーには競馬への深い知見が求められ、審判・獣医師・競走部門・国際部など様々な部署でキャリアを積んだベテランが役職に就く。清水氏は「お客様にハンデ差に込めた意味も推理してより楽しんでいただきたい」とニヤリ。“競馬のスペシャリスト”たちが決めたハンデの読解に挑戦するのも、予想の大きな楽しみだ。

(中央競馬担当・角田 晨)

 ◆角田 晨(つのだ・あきら)2016年入社。ボートレース担当を経て23年から現職。

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