卓球「ノジマTリーグ」の男女12チームの話題を届ける「TリーグNEWS」第2回は、男子の木下マイスター東京をピックアップ。今季主将に就任した田添健汰(30)は、昨季4位で初めてプレーオフを逃した悔しさを胸に「優勝」と目標を掲げた。

下部組織の木下卓球アカデミーでジュニア指導も行い、選手とコーチの“二刀流”で奮闘する。

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 異色の主将が強豪復活を誓った。過去7季中4度の優勝を誇る東京は、昨季は初めて4位に甘んじた。リーグ発足初年度から在籍する田添は「昨季は勝ち続ける難しさを知った1シーズン。悔しい思いをしたので、今季は優勝しかない」と雪辱を誓う。主将を任された今季はここまで4勝3敗で3位。2季ぶりの頂点に返り咲きを狙う。

 歴代主将は21年東京五輪混合ダブルス金メダルの水谷隼氏も担った。名門を率いる田添も「水谷さんは何も言わなくても、背中を見て皆がついて行った。僕はコミュニケーションを大事にしていきたい」と使命感に燃える。今季は18歳の松島輝空ら10代がおり、30歳の田添と15歳の川上流星は15歳差だ。台湾など海外勢も4人と多色なチームを束ねる。

「年下は敬語を使うけど先輩、後輩の感じはなくて。王凱監督代行が通訳してくれるし、海外出身選手も性格が良くて意思疎通は取れている」という。

 ジュニアコーチの肩書も持つ異色のTリーガーだ。高校時代から「教えるのが好き」と引退後は指導者の道を描く中、昨春から下部の木下卓球アカデミーで中高生の指導を開始。選手とジュニアコーチの“二刀流”は過去に吉田雅己らがいたが、多くはない。午前に練習、午後はコーチとしてアカデミー生を指導し、週末はTリーグ戦と多忙な日々。教えながら「若い世代はスタイル…ピッチの速さや技術の幅が全然違うので見ていて勉強になる」と自身のプレーにも刺激が多い。指導者としては「世界選手権や五輪代表選手を育成するのが目標」と掲げた。

 3歳の男の子の父でもあり、「息子とお風呂に一緒に入ったり、海外遠征で家を空けることも多いので、できる限りのことをしています」と“イクメン”としても奮闘中。選手とコーチ、そして父。“三刀流”の主将が、フル回転で躍動する。

 ◆田添 健汰(たぞえ・けんた)1995年4月2日、北九州市出身。

30歳。6歳の時に石田卓球クラブで始め、福岡・希望ケ丘高2年時の2013年に全日本選手権混合ダブルス初制覇など計3度のV。専大に進学し、4年時の17年にアジア選手権同種目で銅メダル、同年の世界卓球個人戦同種目で8強。弟・響(29)は岡山に在籍。右シェークドライブ型。家族は妻と1男。身長174・8センチ。

 〇…リーグ3位の東京は18日に6位の岡山、同19日に5位の静岡を東京・国立代々木第二体育館で迎え撃つ。今季唯一の東京開催のホーム2連戦へ、田添主将は「もちろん、勝ちます。しっかり盛り上げていけたら」と意気込んだ。同19日は楽天モバイルの協力により、試合当日にかなえたい夢を募集し、実現する企画を用意。ホーム2連勝で王座奪回に弾みをつける。

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