女優の青野紗穂(さほ)が東京・豊島区の「あうるすぽっと」で4日に開幕するミュージカル「あの鐘の音と共に‐THE BELL 2025‐」(12日まで)で主演を務める。このほどスポーツ報知の取材に応じ、同作への意気込みや今後の目標などを語った。
スタッフや記者ともフランクに話し、親しみやすさを感じさせる青野だが、「仕事モードのときってキリッとしちゃうので、黙ってると怖そうに思われることが多いんです」と自身を捉える。主演を務めるのは7年ぶり。「前回は20歳で周りにおんぶに抱っこだった。今回は自分も大人になったので『引っ張らねば!』ってなってます」としつつ、座長として心がけていることについて「意識的に優しい雰囲気でいるようにしています。『どんなことがあっても安心できるところだよ』って」と笑いながら明かした。
物語は、母親を殺され孤児となった少女・エレノアが様々な人と出会い、奇跡や愛に巡り合う姿を描く。見どころについて「エレノア以外の役にも一人ひとりの人生があって、それが色濃く反映されている。見る人に温かい気持ちになっていただけたら」とアピールした。
主役のエレノアは自身一人で演じるが、他のキャスト陣は3チームで編成。稽古序盤こそ「同じシーンでも違うシーンに感じることもあるので『大丈夫かな?』ってなったりとかもありました」と漏らしつつ、「それが味となっている。同じ話だけど、3チームとも異なるすてきなお話になっていると思います」とうなずいた。
2015年に「人魚姫」で舞台に初出演して以降、ミュージカルの世界に身を投じて10年。
過去には歌手やモデル、アイドルとしても活動した経験を持つ。元々は女優になることを考えていなかったが、今ではミュージカルの魅力にどっぷり浸っている。「ダンスも歌もさせてもらいながら、役を通していろんな人の人生を生きることができる。いろんな人生体験ができるのは、ぜいたくな仕事だと思います」と目を輝かせた。
そんなミュージカルは自身にとって「未確認生命物体」と表現する。「『コツをつかんだかもしれない』と思ったら次の作品で全然通用しなかったり、『捕まえた!』と思ったら、するする逃げてしまうような追いかけたくなる存在。恋愛でもそうですけど、やっぱり人間って逃げていくと追いかけたくなるじゃないですか。そういう感じでございます」と優しいまなざしで説明した。
近年はミュージカル以外にも声優など仕事の幅が広がりつつあり「歌手活動も改めて再開したい」と意欲を見せるが、「ミュージカルはずっと出ていたいです」と前のめりで話す。
将来の理想像について「本当にぜいたくな願望ですけど、息の長い唯一無二のミュージカル俳優になりたいです」と掲げる。「若いときにしかできないお芝居、年齢を重ねたときにしかできないお芝居、家族を持ったときにしかできないお芝居とか、いろんなものがあると思う。年齢を増すごとに深みが増すような俳優になれればと思っております」。心をわしづかみにされたミュージカルに、生涯をささげていく。
◆青野 紗穂(あおの・さほ)1997年10月19日、兵庫県出身。27歳。2007年、エイベックス主催のコンテストでモデル部門の特別賞を受賞。2012年、アポロ・シアターの「アマチュア・ナイト」の子供部門「Stars of Tomorrow」で優勝。15年、音楽劇「人魚姫」で舞台初出演。