東京六大学野球秋季リーグ戦第4週第1日▽東大6―3慶大(4日・神宮)

 東大と法大が先勝した。東大は1年ぶりの勝利を挙げ、連敗を17でストップ。

国学院久我山で22年センバツ4強入りした左腕・松本慎之介(2年)が、6回途中2失点でリーグ戦初白星。甲子園と東京六大学リーグでともに勝った東大投手は、1928年夏に高松中で2勝し、東大でリーグ戦通算4勝した梶原英夫以来91年ぶり史上2人目となった。

 勝利が決まった瞬間、殊勲の左腕・松本がベンチを飛び出した。「甲子園はもちろん、東大で1勝できた」。チームも24年秋の法大2回戦以来の勝利。歓喜の渦の中で、リーグ戦初白星の幸せをかみ締めた。

 今季4登板目で初先発。「行けるところまで頑張って大量失点だけはしないように」と初回に先制を許すも、最速142キロの直球にスライダーなど変化球を効果的に織り交ぜ5回1/3を4安打2失点。右手人さし指の負傷で欠場中の正捕手・杉浦海大(4年)に代わってバッテリーを組んだ明石健と慶大打線の分析を重ねてきたことが奏功した。「ちゃんと分析していたんで、しっかり投げたいところに投げられた」と頭脳も駆使した勝利に胸を張った。

 1浪を経て東大の門をくぐった。国学院久我山では3年生だった22年にセンバツ出場。

2回戦の高知戦に登板し、5回2失点で勝利投手となった。東大投手が甲子園とリーグ戦で勝利するのは史上2人目。「去年の秋から勝ちに貢献できていなかったので、東大で1勝できたことが僕にとっては大きい」と笑った。

 ここで満足するわけにはいかない。目指すは17年秋以来の勝ち点だ。「うまいピッチングがだんだんできるようになってきた」。再びマウンドに上がる準備はできている。(北村 優衣)

 ▼甲子園&東京六大学リーグ勝利 東大・松本慎之介(国学院久我山)がリーグ戦初勝利。高校では22年センバツで1勝。甲子園で登板し、六大学リーグで勝利した東大投手には、市川武史(80年夏・国立、通算7勝)、楠井一騰(02年春・松江北、通算1勝)らがいるが、甲子園では未勝利。「甲子園&六大学で勝利」の東大投手は、1934年秋・慶大2回戦の梶原英夫(1928年夏に高松中で甲子園2勝、六大学通算4勝)以来、松本が2人目だ。

 ◆松本 慎之介(まつもと・しんのすけ)2005年1月12日、東京・武蔵野市生まれ。

20歳。小3から桜堤ユニバースで野球を始め、国学院久我山中では田無シニアに所属。国学院久我山では3年春に甲子園出場。東大では1年春からベンチ入り。172センチ、80キロ。左投左打。

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