◆米大リーグ 地区シリーズ第1戦 フィリーズ3―5ドジャース(4日、米ペンシルベニア州フィラデルフィア=シチズンズバンクパーク)
ナ・リーグ西地区覇者のドジャースが敵地で同東地区覇者のフィリーズに逆転勝ち。ワールドシリーズ連覇に向け、地区シリーズ初戦を制した。
試合後、朗希は「(肩をつくり始めたのは9回表の)1アウトからだったのでちょっとビックリはしたんですけど、ただランナー1人出て(大谷の四球)時間はあったので、自分のペースでつくりました」と明かしていたが、大谷も会見で舞台裏を明かした。「ウィル(スミス)のアットバット(打席)くらいで朗希が(肩を)つくり始めていたので、監督から『時間を稼いでほしい』というオーダーが出てましたし、そういう意味ではいい四球になったのかなとは思う」。9回2死で打席に立った大谷はバントの構えを見せるなどし、守護神デュランから四球をもぎ取っていた。結果的にここで生まれた時間が朗希の好投につながった。
打者では4打席連続三振に倒れるなど4打数無安打1四球だった大谷だが、投手としては完全アウェーの敵地で躍動した。強力打線に対して初回は3者凡退。2回に無死一、二塁から6番リアルミュートに右中間を破る先制の2点三塁打を浴びたが、直後にはこの日最速の101・4マイル(約163・2キロ)を投げ込むなど球威があった。なおも1死三塁から8番ベーダーには左犠飛を許し、この回3失点。1イニング3失点は今季ワーストタイだったが、一転して3回はスプリットでシュワバー、ハーパーから連続三振を奪うなど立ち直った。
4回も3者凡退。捕手がロートベットからスミスに代わった5回は1死からベーダーへの死球で2回以来の走者を出すと、9番ストットの中前打で一、二塁のピンチを招いた。それでも、ターナーを遊直、最後はシュワバーをフルカウントからのカーブで空振り三振に仕留め、ガッツポーズを繰り出した。大谷の咆吼(ほうこう)に敵地は静まりかえった。チームが1点差に迫った直後の6回は先頭のハーパーをカーブで空振り三振。2死からマーシュもカーブで空振り三振に仕留めた。すると、7回にT・ヘルナンデスが逆転3ランを放ち、大谷に白星が転がり込んだ。
大谷は18年にエンゼルス入団も6年間はチームがPSに進めず。ドジャースに移籍した昨季、自身初めてPSに進出したが、23年9月に受けた右肘手術の影響で打者専念だったこともあって登板はなかった。今季は6月から投手復帰。少しずつイニング、投球数を増やしていく異例の形だったが、レギュラーシーズンでは14試合に登板して1勝1敗、防御率2・87。PSではスネル、山本由伸に次ぐ3番手として先発を任された。