日本代表の長谷部誠コーチが5日、報道陣の取材に応じ、自身のコーチ就任の経緯、役割などについて明かした。23―24年シーズン限りでフランクフルトで現役引退し、現在はフランクフルトのU―21コーチと兼任で、昨秋に就任した日本代表コーチとしても指導に当たる長谷部氏。

「指導者という立場になって、今2年目になってますけど、昨日選挙があって少し話題になった言葉もありますけど、もう働いて働いて、働き倒してます」と笑顔で充実ぶりをにじませた。

 2024年6~7月にドイツで行われた欧州選手権を森保監督が視察した際、コーチ就任を打診され、その後正式なオファーを経て代表コーチ就任が決まった。「自分自身、指導者に進んでこんなにすぐ日本代表に関われるとは、もちろん全く想像もしてなかった。

考えることは色々ありましたけど、是非という気持ちを、伝えさせていただきました」と明かした長谷部氏。その後は日本とドイツ、2つのチームで役割を担う中で、多忙な日々を過ごす。

 現在、森保ジャパンでは攻撃面を名波浩コーチ、守備面を斉藤俊秀コーチ、セットプレーを前田遼一コーチが担当しているが、長谷部コーチは「自分は守備のところをを(斉藤)トシさんと一緒にやってほしいと言われています。もちろん守備だけではなく、攻撃のところでも、名波さんが結構聞いてくださって、このシーンどう思う、みたいな話の中で、自分の意見を言わせていただくこともあります。基本的な役割としては、どちらかというと守備がメインではありますけど、いろんなことに口を突っ込ませていただいています」と話した。

 また自身が選手として3度、W杯に出場して得た経験の還元や、選手と近い目線での役割も担う。特に現役時代、長くともにプレーしたDF長友佑都との接し方についても言及。「長友に関しては、日本代表チームで非常に大きな存在だと日々感じてます。ただ、彼に厳しく言えるのは自分しかいない。

多分、彼も感じてると思うんですけど、毎回合宿のたびに、彼には厳しい言葉をかけています。Jリーグのプレーもチェックしますし、その時にバックパスが多かったら、もっと前にプレーしなきゃダメだみたいな話もしました。彼に対しても、他の選手と変わらないように、指摘するところはしっかり指摘するっていうのが、自分の役割だと思ってます。本当に日本代表の中で、とても大事な選手。ただ他の選手たちとの競争もある。W杯メンバーに入るために、彼はもっともっとやらなければいけない。それはピッチの上で。それは言い続けています」と明かした。

 ドイツにいる間も、選手視察やオンラインでもミーティング参加など、代表コーチとしての仕事もこなす。現代サッカーの最先端と言える欧州にいるからこその人脈などを生かし、その知識や情報をチームに還元することも役割のひとつ。その上で、他にも長谷部コーチにしかできない役割もある。

 「代表チームとクラブは、僕の中では全く別物。

自分もそうだったが、今の選手たちは、自チームのやり方、成功体験にすごくこだわりがある。代表が強くなるためだったら、こういうのもいいんじゃないか、という意見があることは、すごく素晴らしいこと。ただ、代表には代表のやり方があるし、限られた時間でできることもある。欧州でやっていることの良さを取り入れながらも、日本代表のやり方を理解し、選手たちとコミュニケーションを取っていく。例えば選手のそういうこと(主張)が強すぎる時は、それはわかる、でも代表のやり方はこうだ、という言えるのは、自分の役割かなと思う。チームのバランスみたいなものを整える仕事も、あるのかなと思っています」

 代表選手、代表キャプテン、そして指導者と様々な経験を積んできた長谷部コーチ。26年北中米W杯に挑むチームの中で、選手とスタッフ間をつなぐ重要な役割も担っている。

編集部おすすめ