◆米大リーグ 地区シリーズ第1戦 フィリーズ3―5ドジャース(4日、米ペンシルベニア州フィラデルフィア=シチズンズバンクパーク)

 ドジャース・佐々木朗希投手(23)が4日(日本時間5日)、地区シリーズ(S)第1戦のフィリーズ戦で2点リードの9回に4番手で登板し、日米通じてプロ初セーブをマークした。最速101マイル(約162・5キロ)をマークするなど1回1安打無失点で試合を締めた。

9月途中から今季限定としてリリーフに配置転換となったが、この日も肩をつくるタイミングが不透明な中で結果を出して首脳陣の評価はうなぎ登り。守護神の座をつかもうとしている。

 早くも風格が漂ってきた。2点リードの9回2死三塁。朗希はストットを100マイル(約161キロ)の直球で三邪飛に打ち取り、大きく息をついた。「2点差で前回より点差がない中で、一発出たら同点という怖さはあったんですけど、ゾーンで勝負して結果的にゼロで抑えられて良かったです」。これで救援転向後はマイナーから6登板連続の1回無失点となった。

 ドタバタの登板となりながら、しっかりと腕を振った。これまで、朗希の登板は直前の味方の攻撃が始まるタイミングで伝えられていた。この日も試合展開を見ながら、上着を脱いでユニホーム姿で体を動かしてはいたが、9回表の攻撃が始まってもブルペンの電話は鳴らず、一度は上着を着直した。8回2死満塁から登板したベシアの続投も検討したベンチの判断が遅れ、電話が来てキャッチボールをスタートさせたのは9回1死からだった。

 それでも2死から大谷が四球を選んで時間を稼ぐ“アシスト”もあり、投球練習を始めてからマウンドに上がるまで8分ほどはあった。

そんな中でも1人目の打者・リアルミュートへの初球にこの日最速の101マイル(約162・5キロ)を計測し、最後はスプリットで見逃し三振。1死から二塁打を浴びるも本塁は踏ませず「(投球練習開始が)1アウトからだったのでちょっとびっくりはしたんですけど、ただ(大谷の四球で)ランナー1人出て時間はあったのでそこはもう自分のペースでつくりました」と涼しい顔だった。

 これまでは、慣れないブルペン待機に試合中は落ち着きなく右往左往し、壁当てを続けるなど試行錯誤の日々だった。ド軍ブルペン陣の中では緊張でせわしなく動き回る投手の行為を「anxious throws」(不安払しょく)と呼び、決して悪いことではないと捉える。今季メジャーデビューしてチーム3位の67試合に登板したドライヤーは「誰もが緊張する。彼がブルペンでどう過ごしてもあれだけの成功を収めるのはすごい」と感心する。

 早くもチームに欠かせない存在になってきた朗希。5日(同6日)は試合がなく、第2戦は中1日で迎えるとあって登板も可能だ。「もう1勝してLAに帰れたらなと思います」。貪欲な姿勢が頼もしく映った。(安藤 宏太)

◆髙橋尚成Point 9回を締めた佐々木は真っすぐが全て160キロ以上と、いい時の状態。大谷とは対照的にテンションMAXで、腕を強く振ろうとするあまり、体が前に行き過ぎてスプリットが高めに抜けてはいたが、見事にクローザーの務めを果たした。

 フィリーズの大声援が湧き起こる敵地の初戦で、3点差を逆転しての勝利は、ドジャースにとって大きい。しかも9回を佐々木に任せる形が決まり、チーム自体がホッとしたと思う。(野球評論家・髙橋 尚成)

 ドジャース・ロバーツ監督「相手の打順を見て、(左腕の)ベシアを続投させるより、彼(朗希)に任せる方が安心だと思った。(朗希で)自信を持っていた」

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