◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 かつての自身に姿を重ねたに違いない。ドジャース1年目の佐々木朗希が、シーズン終盤に救援へ転向してメジャー復帰。

安定感を欠く中継ぎ陣を引き締めた。「たくさんのコーチとトレーナーに支えてもらったので感謝したい」。支えてもらった一人がM・プライアー投手コーチ(45)だ。

 長身にヒゲをはやしたルックスは日本のファンにもおなじみで、佐々木とは共通点が多い。2001年にドラフト1巡目(全体2位)でカブスに入団。佐々木より2歳若い、21歳の02年にデビューした若きスターだった。03年に球宴初選出され、シーズン18勝6敗、防御率2・43と圧巻の成績。将来を期待されていた。

 不思議な縁もある。2010年、1か月だけ在籍した米独立リーグで、後に佐々木の恩師となる大船渡高時代の監督・国保(こくぼ)陽平氏と対戦していた。今はその教え子と「コーチと選手」という立場。人生の巡り合わせに「すごいな、面白い。

球界は広いようでとても狭いと物語っている」と感慨深げだ。国保氏にとっても、独立リーグでもがく元スターの姿が、若い才能を伸ばすという考え方の一因になった。19年夏の岩手大会決勝(花巻東戦)では、負担を避けて朗希を登板回避させる決断につながった。

 同コーチは華々しいデビューの一方で右肘の故障に苦しんだ。25歳だった06年がメジャー最終登板で、13年末に現役を引退した。「彼は素晴らしい武器と能力を備えている。あとは成長し、強敵をどう抑えるかを理解することだが、必ずその域に到達できる。支配的な投手になってほしいね」。さらなる覚醒を心待ちにしている。(メジャー担当・竹内 夏紀)

 ◆竹内 夏紀(たけうち・なつき) 2019年入社。25年からMLB担当。

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