ドジャース佐々木朗希投手(23)のポストシーズン(PS)での起用が9回や抑えに限らないことが5日(日本時間6日)、判明した。4日の地区シリーズ(S)第1戦、フィリーズ戦で、日米通じて初のセーブをマークした右腕についてD・ロバーツ監督(53)は守護神の素質を認めながらも「9回に固定したくない」と柔軟に起用していくとした。

ド軍はこの日試合がなく、6日(同7日午前7時8分開始)の敵地での第2戦に勝てば一気に王手をかける。“どこでも朗希”が2年連続世界一のキーマンとなる。

 朗希はすでに首脳陣の信頼をがっちりつかんでいた。試合がなく敵地で非公開練習が行われ、オンライン取材に応じたロバーツ監督は、第1戦でプロ初セーブを挙げた朗希について「我々が最も信頼を置くリリーバーの一人として見ていることは確かだ」と言い切った。

 9月には勝ちパターンを担うはずのトライネン、スコットらが不安定で、勝利の方程式を確立できずにPSに突入したド軍。そんな中、朗希は9月途中に救援に転向。マイナーを含めて救援では6登板連続で1回無失点。160キロ台の速球も戻り、指揮官が「どんな状況でも感情をコントロールできると信じていたが、我々全員が安心できた」と言えば、サイ・ヤング賞2度のスネルも「救援での強い自信が好きだ。ビビらずにストライクを投げて攻めている。先発の時は少し慎重で神経質に見えたが、今は自信を持っている。見ていて楽しい」と太鼓判を押した。

 ロバーツ監督は抑えに「値する」と合格点を与え、今後も守護神として起用するプランがある一方で、「相手のラインアップ次第では8回に重要な場面が来ることもある。

そのときに彼が最適となる可能性がある」と説明。ターナー、シュワバー、ハーパーと強打者が並ぶフィリーズ上位打線との対戦が7、8回に来た場合、朗希を投入する可能性も示唆した。

 8回はド軍がレギュラーシーズンで4回以降のイニング別で最も失点の多かった「魔」のイニング。朗希も「任せられたところを精いっぱい投げて、チームのためになれれば」と話しており、どんな役割でも担う覚悟はできている。

 フ軍の本拠地・フィラデルフィアは、映画「ロッキー」の舞台。「ロウキ」は米国では「ロッキー」に近い発音で呼ばれることも多く、登場曲には同僚が選曲した「バイラロ・ロッキー」も使用。シチズンズバンクパークから車で15分の場所に主人公がテーマ曲に合わせて駆け上がった「ロッキー・ステップ」があり、銅像も設置されている。先発では思うようにいかなかったが、本家「ロッキー」のようにどん底から一気にスター街道を駆け上がる姿は重なって見える。

 疲労が考慮され2日連続の登板はない見込みだが、第1戦の翌日だったこの日は試合がなく、第3戦まではすべての試合に投げることが可能。指揮官も第2戦の登板を「問題ない」とした。ブルペン陣の救世主となっているロウキ。さらなる高みへステップを踏む。

(安藤 宏太)

 ◆ロッキー 1976年製作で、後にシリーズ化された人気ボクシング映画。シルベスター・スタローン演じる主人公のボクサー「ロッキー」が、アメリカンドリームをつかみ、大スターになるストーリー。テーマ曲に合わせて階段を駆け上がる名シーンで使われるフィラデルフィア美術館正面の「ロッキー・ステップ」は72段。最上段にロッキー像もあり、フィラデルフィアの人気観光スポットになっている。

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