大相撲の幕内・御嶽海(出羽海)が7日、都内の部屋で稽古を行った。秋場所直前の9月12日に、母のマルガリータさんが55歳の若さで死去。

場所中は悲しみを胸に気丈に土俵を務めていたが、この日「(気持ちが)落ち着かないですね。遅かれ早かれだから、と(自分に)言い聞かせるしかない」と、愛する母の急逝後初めて胸の内を明かした。

 秋場所を目前に控える中、マルガリータさんが救急搬送される知らせを受けた。すぐに母の元へ向かったが「着いた時には亡くなっていました。救急車に乗るときには、意識がなかったみたい」と明かした。「会話という会話は、名古屋場所の千秋楽の後に電話したかな…」と御嶽海。悲しみに暮れたが、力士としての思いは揺るがなかった。「(相撲は)仕事なので。場所に出なかったら多分、親父にも怒られるし、ママは怒りはしないけど悲しむ。そんな姿は見せたくない。亡くなって、お母さんも一緒に戦っていたから。休場とかは、一切考えずに」

 23年の名古屋場所直前、父の春男さんを亡くしたが土俵に立った。

秋は7勝8敗と負け越したものの完走し「全敗するかと思ったけど、頑張れたと思います」と、自らをねぎらった。

 場所後の今月5日、地元の長野・木曽町で「お別れの会」が行われた。喪主を務め、ここでも気丈に振る舞った。あふれそうな涙をこらえながらのあいさつ。フィリピン出身のマルガリータさんへ、最後はタガログ語でお別れを告げた。「たくさんのありがとう。私はあなたのことを忘れないし、あなたも私のことを忘れないでほしい。これからもずっと、愛し続けているよ」。多くの人に見守られながら、送り出された最愛の母。御嶽海は「最後まで愛されていたな、と感じました」と、感謝した。

 葬儀を終え、6日に帰京。この日は協会100周年記念場所の「古式大相撲」に出場し、15日からはイギリスでのロンドン巡業を控えるなど気を休める暇はない。

お別れの会では「まだまだ僕の相撲人生は続いていきます。お父さん、お母さんの分も頑張っていきたいと思います」と、決意を改めた御嶽海。両親への思いが、何よりの原動力となる。

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