◆報知新聞社後援◇静岡学生野球 2位決定戦プレーオフ 静岡産業大10-3東海大静岡=8回コールド=(8日・草薙球場)

 静岡産業大が東海大静岡を10―3の8回コールドで破り、東海地区大学選手権(17日開幕、草薙)の出場権を4年連続で獲得した。試合が大きく動いたのは2―3で1点を追う7回。

1死一、二塁で今秋のドラフト候補で4番の渡辺笑生(わらう)一塁手(4年)の一発が出た。外角からシュート回転で内寄りに入ってきた直球を完璧に捉えると、打球は右中間の中段スタンドへ。逆転の3ラン本塁打で、流れを一気に引き寄せた。

 渡辺にとって2試合連続、今秋5本目の本塁打となった。3打数2安打4打点の活躍を見せた180センチの大砲は、「正直、単打で追いつければと思っていました」と振り返る。「打った瞬間の感触も弾道も良く、伸びのある打球だったのでヒットは確信していました。入ってくれたらうれしいな、と少し期待してましたね」と笑顔。「逆転弾は素直にうれしかった」とも喜びを語った。

 勝負を決める値千金の一撃に、萩原輝久監督も笑顔を見せた。「いやもう、“笑生さまさま”でしたね」と頬を緩め、「この前の本塁打もそうだけど、今日の一振りも本当に価値があった」と称賛。これまでの4本の本塁打は、ランニング1本、左越え3本で、右越えは今回が初めてだった。

 渡辺は1年秋に新人賞、ベストナイン(DH)、本塁打王(3本)を獲得し、早くから注目を集めた逸材だ。

しかし、2年夏に左膝前十字靱帯断裂に加え、半月板も損傷した。負傷して以降は左足の使い方や打撃時の体の開きに苦しんできた。それでも今季に入り復調。5日にはフォーム改善に向けた新たなアプローチとして、「左足ではなく左肩を意識することで、上半身からの開きを抑える」取り組みを始め、手応えを感じているという。

 「笑生」という名前には、「笑って人生を送れるように」「笑生の周りに笑みが生まれるように」という願いが込められている。東海大会出場を決めたこの日の活躍は、その名にふさわしく、チームに大きな“スマイル”をもたらした。

 17日開幕の東海地区大学選手権は、上位2チームが、北陸・愛知との三連盟王座決定戦(11月開幕、愛知)に臨む。全国舞台、そしてNPBへの道を切り開く渡辺のアーチが、今、確かな光を放ち始めている。(伊藤 明日香)

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