オリオールズ・菅野智之投手(35)は、チームで唯一1年間ローテを回り、巨人時代を含め自己最多の30登板で10勝10敗、防御率4・64だった。

  * * *

 菅野にとって環境面など日本時代とはさまざまな違いを感じながら過ごしてきたであろう1年。

9月に米国に渡って思いを聞くと、「考えても仕方がないことを考えるのはやめようって決めていた。だからそこらへんは何とも思わないかな」と気にも留めないように返ってきた。昨年末に「全部受け入れる気持ちでいかないと」と話していたのを思い出した。心持ちを変えることなく全うした姿があった。

 日本では、先発投手は登板日以外は基本的にベンチに入らないが、米国では違う。「ずっとベンチで試合を見ていて、『やっぱりこういう流れだと点が入るな』とかも感じたりすることもある」。新鮮に、前向きに時を刻んでいたようだ。

 30登板した中で中5日と中4日は計21度。それでも「日本と違って120球とかを投げることもないし、日本にいる時も中5日は平気だった。今となっては中6日空くとちょっと空きすぎな感じはする」。登板2日前の40球程度のブルペンでの投球練習など、日々の調整は日本時代と変えずにローテを回り切った。

 「さらに上を目指したいと思えた」という舞台。

1年契約でFAとなるが、多くの経験を携えた来年は、さらなる輝きを日本のファンにも届けてくれるはずだ。(田中 哲)

編集部おすすめ