日本代表は8日、千葉県内でパラグアイ戦(10日・パナスタ)に向け、大部分を非公開として練習を行った。DF鈴木淳之介(22)=コペンハーゲン=が来年の北中米W杯メンバー生き残りへ、アピールを誓った。
チームにとって主力不在の危機は、伸び盛りの22歳にとって千載一遇のチャンスになる。今夏、湘南からデンマーク1部の名門コペンハーゲンへと移籍し、欧州CLデビューも果たして初めて海外組として代表入りした鈴木淳は「自分らしさを出して、(ポジションを)つかみ取りたい」と力強く言い切った。DF板倉滉、町田浩樹ら森保ジャパンを支えてきたCB陣を軒並み欠く2連戦で、アピールの機会を待ちわびた。
経験と安定感が求められるDFは、過去のW杯でもなかなか入れ替わらなかった。“シンデレラボーイ”としてのサプライズ選出は、98年フランスW杯のMF小野伸二ら攻撃の選手が主だった。だが、3バックの左を主戦場とする鈴木淳は攻撃力が特長のCBで、特にボールを運んで攻撃に関わるプレーを得意とする。代表デビュー戦となった6月のインドネシア戦でも、正確な左足クロスをFW町野に合わせ、守備だけでなく攻撃もアピールした。
コペンハーゲンでは負傷で出遅れたが、復帰後は3バックと4バックを併用するチームで、右サイドバック(SB)にもトライしており、日本代表でもCB、SBでプレーする可能性がある。異国の地で、チームメートに理解されず「3バックで前に(攻撃に)行ったら怒られました。でもそこが持ち味なんだ、と見せていかないといけない」と語るほど、攻撃にこだわる。
180センチとCBとしては小柄で、190センチ以上のFWも多いデンマークで「いろいろと工夫、経験しながら学んでいます」。森保ジャパンは米国遠征の2試合(メキシコ、米国戦)で無得点に終わり、攻撃面での進化が求められる中で「そこ(攻撃力)がなければ自分の価値はないと思うので、出していきたい」と言い切った鈴木淳。無限の可能性を秘めた22歳は、南米の強豪相手にも果敢に攻め上がってW杯でのポジションをつかみ取るつもりだ。(金川 誉)
◆鈴木 淳之介(すずき・じゅんのすけ)2003年7月12日、岐阜県出身。22歳。帝京大可児高から22年に湘南入り。プロ3年目の24年途中、ボランチからセンターバックに転向して開花。25年6月10日のアジア最終予選・インドネシア戦で代表デビュー。国際Aマッチ1試合0得点。7月にはデンマーク1部コペンハーゲンに完全移籍。180センチ、78キロ。利き足は右。