バレーボール男子 国際親善試合 最終日(8日、東京・有明アリーナ)

 日本の大同生命SVリーグ王者・サントリーはイタリア1部セリエAの強豪で欧州CL王者・ペルージャに挑んだが、セットカウント0―3で2連敗した。ただ、日本代表でサントリーの主将・高橋藍が第3セット途中までに両チーム最多16得点と奮闘。

ペルージャで途中出場の石川祐希との日本代表対決も演じ、両日ともに超満員の計2万8000人を超える大観衆が熱狂した。

 強敵撃破とはならなかったが、記憶に残る対決を見せた。第2セット(S)、ペルージャの22―19。ペルージャ・石川が中央付近からバックアタックを打ち込む。そこへブロックに跳んだサントリー・藍が左腕で止めた。“見たか”とばかりに両腕を広げ、仲間と喜ぶ。一方の石川はセッター・ジャンネリと会話し、すぐに立ち上がった。続く22―20。今度は石川が藍の右側、2枚ブロックの間を通すバックアタックを決め返した。これには藍も苦笑いするしかなかった。日本のエース同士の攻防に1万4000人超の大観衆が酔いしれた。

 藍は「石川選手しか見ていなかった。

セット終盤の勝負がかかった場面で(トスを)上げてくるのは石川選手だったり、パイプなのかなという判断。チームとしてもブロック得点は雰囲気が上がってくるし、勢いもつけられる。コートを挟んでこれだけレベルの高い中で、相手はイタリアのトップチーム。サンバーズとして皆さんの前で戦えることを非常にうれしいですし、面白い対戦ができたことがうれしいです」と充実の表情で振り返った。

 役目を全うした。サントリーとともに「新しい挑戦」を掲げて加入2季目に入った。その1つがペルージャ戦だった。代表活動後、5日の休養でチーム練習に合流。24日のシーズン開幕前で状態を上げるのは容易ではない時期だが、ベストを尽くした。試合周知のためにメディアにも多数出演した。平日開催にもかかわらず連日超満員の2万8000人を超える光景を目の当たりにし「バレーボールに興味を持っていただいていることが非常にうれしく、そういった方の力があって僕たちは楽しく全力を出せる場があるので、本当に感謝しかないです。新しい経験であったり、いろんなことをもらえる大会になったので、皆さんとともにいい大会ができたんじゃないかと思います」と思いが込み上げた。

 何よりも強く意識してきたのは次世代への思い。4階席から背番号12のユニホームをぶかぶかに着た子どもたちが、サーブ時に「ら~ん!」と大きな声で声援を送っていた。「僕自身、日本とイタリアの両方のリーグを知る中で、今大会で“きっかけ”になることが必要で。日本のバレーは知っているけど、海外のバレーは知らないということはあると思っているので、(子供が)今大会でイタリアリーグのレベルの高さであったり、トップチームを見ることで1つの選択肢になればいいなと思います」と真っすぐな目で話した。

 24日のSVリーグ開幕を前に、世界クラブ選手権2度の優勝を誇るペルージャとの対戦は、刺激が大きかった。2連敗を喫したものの、この日は両チーム最多16得点で存在感。それでも「まだまだ世界との壁を感じました。セット終盤のチームの在り方、セットを重ねるごとにチーム力を上げていくペルージャはトップチームだなと感じた。レベルの高いマインドでやらせていただきました」と世界との距離も肌で感じていた。

 初代王者として2連覇を狙うシーズンは24日の大阪B戦(兵庫)で幕を開ける。「この大会の中で成長できた部分も多いと思います。2連覇を目指して頑張っていくし、世界一のチームを目指してサントリーサンバーズ大阪としては頑張っていく」。

熱戦を糧に、新主将としての新たな挑戦が始まる。

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