歌舞伎俳優の片岡愛之助が9日、都内で11月の歌舞伎座公演「吉例顔見世大歌舞伎」(11月2~26日)の昼の部「曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)御所五郎蔵」の取材会を行った。

 御所五郎蔵(愛之助)と星影土右衛門(尾上松緑)が傾城(けいせい)の皐月をめぐり、男の意地を張り合う物語。

元大名家の家臣で江戸の侠客である五郎蔵を演じる愛之助は「すっきりと粋な男伊達に見えるように勤めたい。背筋を伸ばして演じられたら」と意気込みを語った。昨年11月の立川立飛歌舞伎で「新版 御所五郎蔵」を初役で勤め、それ以来1年ぶり2度目の五郎蔵役となる。

 11月には夜の部「三谷かぶき 歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)」にも出演する。三谷幸喜氏が作・演出を手掛ける三谷かぶき第2弾。数日前から稽古が始まり、三谷氏が「歌舞伎座でドッカン、ドッカンと笑いを取ります」と宣言したという。愛之助は「個性がぶつかりあっている感じですね」と手応えを口にした。

 また、昨年11月に京都・南座での稽古中に舞台装置と接触して「上顎(じょうがく)及び鼻骨骨折」の大けがを負ったことにも触れた。「当たり所が悪かったら死んでたかもしれない」として「毎日、芝居ができるありがたさ、命のありがたさを感じます」。叔父の片岡仁左衛門からは「生かされた命。何かしらの使命があるんだから、日々精進してください」と激励されたという。

 53歳の誕生日である3月4日に「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助役で復帰した。

「叔父(仁左衛門)とダブルキャストということもあり、お客様に納得していただけるのか不安もありましたが、大きな拍手をいただき、泣きそうになりました」と振り返った。

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