スウェーデン・アカデミーは9日、今年のノーベル文学賞をハンガリーの作家クラスナホルカイ・ラースローさんに授与すると発表した。毎年有力候補に挙がる作家・村上春樹さん(76)は、今年も受賞を逃した。

 「ハルキ・ムラカミ」の名前はまたもや呼ばれなかった。村上さんは2006年にノーベル賞の前哨戦的なフランツ・カフカ賞を受賞して以降、ブックメーカーなどで候補者の上位に常に挙げられてきた。日本、そして世界のハルキストたちが受賞を期待してはガッカリする毎年秋の風物詩。今年もその流れは変わらず、「20度目の正直」はならなかった。

 今年も前評判は高かった。受賞者を予想する英ブックメーカー・ラドブロークスのオッズで、村上さんは3番手だった。首位には、クラスナホルカイさんと中国の作家・残雪さんと同率で並んでいた。オッズ表には約90人が挙がり、日本人では金井美恵子さんや多和田葉子さんの名前も。米国の大家スティーブン・キングさん、「ハリー・ポッター」シリーズで知られる英国の女性作家J・K・ローリングさんも下位にランクインしていた。しかし、昨年は事前予想で上位に入っていなかった韓国のハン・ガン(韓江)さんがアジア人女性で初めて受賞しており、賭け率と結果が一致しないケースもあった。

 村上さんは「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」などの作品で知られ、50か国語以上に翻訳されている。ノーベル賞について、かつて著作の中で「脳減る賞」とやゆし「(毎年騒動になるのは)正直なところ、割に迷惑です。

だって正式な最終候補になっているわけじゃなくて、ただ民間のブックメーカーが賭け率を決めているだけですからね。競馬じゃあるまいし」などと否定的に述べていた。

 日本人ではこれまで川端康成や大江健三郎が受賞し、17年には長崎市出身の英国人作家カズオ・イシグロさんに贈られた。

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