巨人・長野久義外野手(40)が今季限りで現役を引退することが13日、分かった。すでに球団、阿部監督、チームメートらに意思を伝えた。
巨人の一時代を築いた天才打者・長野が、ユニホームを脱ぐことを決断した。12日のCS第1ステージDeNA戦で3か月ぶりに出場選手登録も出番はなく「個人的にもチームとしても悔しいシーズンでした」とプロ16年目を振り返った背番号7。一夜明けた13日までにチームメートや関係者に報告を済ませたもようだ。
今季は自己最少の出場17試合にとどまったが、精神的支柱としての存在感は抜群だった。助言を求める若手に惜しみなく自身の経験を伝え「そういう姿はマッチさん(松田宣浩)から教わっている。僕がやれば、他の選手もやってくれると思う」と、ベンチの最前線で声を張り上げてチームを鼓舞。2軍が優勝を決めた9月16日のイースタン・西武戦(カーミニーク)では延長10回タイブレークで代走出場を申し出るなど、グラウンド内外で献身的にチームを支えた。
走攻守そろった万能型の外野手。
18年オフ、FA移籍した丸の人的補償で広島入り。移籍2年目の20年に代打としての打率4割4分をマークするなど、新天地でも驚異的な勝負強さで貢献した。22年オフにトレードで4年ぶりに巨人復帰した際、広島・鈴木球団本部長は「いつかユニホームを脱ぐことがあるとしたら、やはり巨人で脱ぐべきじゃないか」とコメント。その親心通り、愛するチームと、兄貴分の阿部監督の下で現役を全うした。
気配りを忘れない人柄で、誰からも慕われた。新入団の選手にはチームになじんでもらおうと真っ先に声をかけ、外国人選手は春季キャンプ中に食事に誘った。
今後は未定だが、近日中に自身の言葉で胸中を明かすとみられる。通算1512安打、163本塁打。記録以上に多くの財産を残した40歳が、静かにバットを置く。
◆長野 久義(ちょうの・ひさよし)1984年12月6日、佐賀県生まれ。40歳。福岡・筑陽学園から日大に進学。2006年大学・社会人ドラフトで日本ハムの4巡目指名を拒否し、ホンダ入り。08年ドラフトはロッテの2位指名を拒否。09年ドラフト1位で巨人入り。10年に新人王、11年に首位打者、12年に最多安打のタイトルを獲得。