巨人の甲斐拓也捕手(32)が13日、FA移籍後1年目のシーズンを終え、無念さをにじませた。チームは11日からのCS第1ステージ(横浜)でDeNAに連敗して敗退。

その場に立つことができなかった背番号10が、悔しい思いを吐露した。

 8月23日のDeNA戦(東京D)の守備で右手中指を骨折。17年に1軍定着して以降、初の負傷による離脱を味わった。「テレビで見て応援するしかできなかった。その場でやりたい気持ちはもちろんあったし『悔しいな』って」。治療とリハビリを重ね、順調な回復を示したが、復帰はかなわなかった。「本当にいろいろあった1年。こっち(巨人)に来ないと分からないことも多かったし、セ・リーグにはセ・リーグの戦い方があるとあらためて感じた。今まで経験したことのないシーズンだった」。ソフトバンク時代に日本一4回、国際大会で世界一にも貢献してきた百戦錬磨のベテランも、環境への適応に時間を要した。

 今季は68試合に出場して打率2割6分、4本塁打、20打点。投手陣を懸命にリードして攻守に奮闘した。

「お互い理解し合っていかないといけない中で、そこに遠慮が生まれてくることも多かった。一人ひとりとコミュニケーションを取っていく上で難しいこともあった」。苦心が続き、試行錯誤の日々を過ごした。

 この日はG球場で行われた残留練習に参加。キャッチボールやフリー打撃で汗を流し、骨折の影響を感じさせない動きを披露した。「1年でいろいろ分かった部分もある。遠慮せず、僕のスタイルとしてやっていければ。向上しないといけない部分は多くある。オフでしっかりやっていきたい」。不完全燃焼に終わった移籍1年目。悔しさを胸に秘め、視線はすでに来季を見据える。(加藤 翔平)

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