◆米大リーグ ナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦 ブルワーズ1―5ドジャース(14日、米ウィスコンシン州ミルウォーキー=アメリカンファミリーフィールド)
ドジャース・山本由伸投手(27)が14日(日本時間15日)、大谷翔平投手(31)も「1番・投手」でスタメン出場したナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦の敵地・ブルワーズ戦に先発し、9回111球を投げて3安打1失点、7奪三振の内容で、日本人として初となるPS完投で、メジャー自身初めて9イニングを投げ抜き、チームに勝利をもたらした。これまでは黒田博樹がヤンキース時代の2012年に地区シリーズ第3戦で8回1/3投げたのが日本人最長イニングだった。
初回初球被弾しながらも投げ抜き、試合後の会見場に姿を見せた右腕は「1人目のバッターで悔しかったけど切り替えて次のバッターに向かって投げていきました。信頼してもらえる、任せてもらえるのは選手としてうれしい。ますます頑張ろうと思う。信頼してもらって結果で返せてよかった。今日の試合でも自分の成長は感じた。大切な試合を勝っていくことで自分の成長につながればいいなと思います」と充実の表情を浮かべた。
MLB公式サイトで各種記録に精通するサラ・ラングス記者によれば、ポストシーズンでの完投は17年リーグ優勝決定シリーズのバーランダー以来で、ドジャースの投手では、04年の地区シリーズ第3戦のホセ・リマ以来の快挙だという。山本は「マーク(プライアー)コーチとかウィル(スミス)の意見とか色んな人の意見を出しながら組み立てました。(PS完投の)8年ぶりは知らなかったけど、1イニングずつ集中して、テンポよく投げられて試合を締めくくれてよかった」と話した。
1回表は大谷が空振り三振を喫するなど無得点に終わったドジャース打線。山本はベンチでシャドーピッチングを行うなど入念な準備をしてマウンドに上がったが、先頭のチョウリオに初球の直球を右翼へ運ばれてまさかの先頭打者本塁打を被弾した。それでも後続を抑えて一気に崩れることはなかった。
1点をリードした2回は先頭のボーンの平凡なゴロを三塁手のマンシーが失策。無死一塁となったが、後続を危なげなく抑えた。3回は先頭弾を浴びたチョウリオから3球で空振り三振を奪い、2死からチュラングに左前安打を許したが無失点で切り抜けた。4回は1安打を浴びたが、直球を1球も投げずにスプリット中心の配球で無失点。1点差で試合は進んだ。
5回は1死で9番のオルティスに2ボールとなったところでスミスがタイムを要求。プライアー投手コーチがマウンドに向かって一息おくと、四球を与えたが、チョウリオとチュラングを打ち取って、5回終了時点で65球で勝利投手の権利をつかんだ。6回にはマンシーのソロでリードは2点に広がった。
6回はこの試合初めての3者凡退。この日最速の97・6マイル(約157・1キロ)もマークするなど疲れは一切見せなかった。すると7回には1死三塁で大谷が4試合、20打席ぶりの安打となる右前適時打を放ってリードを3点に広げた。
山本は9月に3登板連続1安打投球を見せるなど、絶好調で月間MVPにも輝いた。ワイルドカードシリーズ第2戦の本拠地・レッズ戦も7回途中2失点(自責0)と好投。だが、8日(同9日)地区シリーズ第3戦のフィリーズ戦では、5回途中6安打3失点でチームを勝利に導けなかった。
さらにブルワーズ相手には悪夢もあった。敵地・ブルワーズ戦は、7月7日(同8日)でも先発したが、自己最短の1回持たず3分の2で4安打5失点でKO。苦しいマウンドとなったがが、前日には「今はまた違うピッチングができると思う。負けるわけにはいかないので、チームが勝てるように全力で投げたいと思います」と気合を入れていた。
山本は20日(同21日)に敵地で行われる第6戦までもつれた場合は中5日で再び先発する見込みだ。