◆明治安田J1リーグ ▽第34節 神戸0―0鹿島(17日・ノエスタ)

 首位の鹿島は敵地で神戸と0―0で引き分けた。劣勢の展開でも堅い守備で失点を許さず勝ち点1を拾い、2016年シーズン以来となる9季ぶりの優勝に一歩前進した。

他クラブの結果次第で、第36節の横浜FC戦(11月8日・メルスタ)で優勝が決まる可能性が出てきた。Jリーグ史上2度目の3連覇を狙う神戸は痛恨のドローでV戦線から後退した。広島はFC東京と0―0で引き分けた。

 勝てなかったが、負けなかった。首位に立つ鹿島にとって、価値あるドローとなった。07~09年の鹿島が唯一達成した3連覇を狙い、V争い最大のライバルと目される神戸に、勝ち点3を積ませず。11戦負けなし(7勝4分け)とした鬼木達監督(51)は「我慢強く戦ってくれた」とイレブンをたたえた。

 序盤から防戦一方の展開となったが、失点しない限り、負けることはない。開始直後に日本代表GK早川が神戸FW大迫との1対1を制して以降も、DF植田やDF金のシュートブロックなど、執念の守備が光った。植田は「どっちに転んでもおかしくない試合で耐え切った。勝ち点1はポジティブに捉えたい」と無失点を誇った。

 この日先発した植田、FW鈴木、MF三竿の3人は、17年に最終節で川崎に勝ち点で並ばれ、得失点差で優勝を逃したシーズンも主力だった。

三竿は当時を「『今年は鹿島だろう』って空気があった」と振り返る。しかし勝てば優勝だったラスト2試合でともに引き分けに終わり、2連勝の川崎にかわされて優勝を逃した。翌年以降は、川崎の時代が到来し、鹿島は優勝争いにすら絡めないシーズンが続いた。

 「今年は鹿島だろう」という雰囲気が、今季も漂っていることは確かだ。しかし川崎に4度のリーグタイトルをもたらし、今季から就任した指揮官は「自分たちはチャレンジャー。勝ち続けるだけだ」と選手に繰り返す。三竿は「緩い雰囲気があったら厳しく言っていく」と力を込める。

 リーグ戦残り4試合で、暫定2位の神戸との勝ち点差は5。他クラブの結果次第だが、次の第35節で京都に勝利すれば、第36節の横浜FC戦が優勝の“Xデー”になり得る。17年の二の舞を避けるべく、鈴木は「もう残り4試合、勝ち切るだけ」と気を引き締めた。9シーズンぶりの歓喜へ、鹿島がラストスパートをかける。(岡島 智哉)

編集部おすすめ