◆明治安田 J1リーグ▽第34節 神戸0―0鹿島(17日・ノエスタ)

 前節終了時点で4位の神戸は、首位・鹿島との試合を0―0で終えた。勝ち点差5は縮まらなかった。

DF飯野七聖は4試合ぶりに先発出場を果たし、後半20分まで右サイドバックでプレー。DF広瀬陸斗と途中交代した。

 勝てば勝ち点差は2に縮まり、負ければ8に広がる。まさに大一番だった。13日の練習で姿が見えなかったDF酒井高徳はベンチ外。飯野が先発を務めた。その背番号2は「サッカーをやっていて、優勝争いできるのはプロになった選手全員が経験できる訳じゃない。それをヴィッセルは3連覇に向かってやっている中で、その一員としてプレーできているのは他のチームじゃできない経験できないこと。自分に与えられたチャンスにワクワクしていましたし、ここでやるために毎日頑張っているので」。ワンプレー目から激しく、素早く寄せ切って鹿島の攻撃陣に仕事をさせない。前半27分には中央でFW大迫勇也、MF鍬先祐弥とつながったボールが右サイドに展開。持ち味のスピードで駆け上がってきた飯野が受け、そのままクロスを上げる。

得点にはつながらなかったが得点機を演出。その後も隙を与えず、攻守に役割を全うした。

 まさに迫力を出し続けた65分間に、吉田孝行監督も「アグレッシブに、前に前にいってくれた。十分、高徳の代役ではなくて自分の良さをたくさん出してくれた」とたたえた。リーグ戦の出場は今季18試合目だった。ACLE、カップ戦での出場も多い。過密日程を送り、指揮官が「2チーム分の戦力が必要」と、話すチームをウィング、サイドバックなど、多様なポジションから献身的に支えてきた。時には左サイドにも回るなどいろんな選手と組みながら、相手の良さと自分の良さを出すことについて試行錯誤。難しさもある。その中で、常々飯野が話してきたのは「2チーム目にはならないこと」。ここ数年、度重なる負傷に「けがして、コンディション上がって、チャンスをもらって。その試合良かったのに、またアクシデントで離脱してしまうというのがこの2年半くらいそのサイクルで。

うまく乗り切れない時期が本当に長くて」と悩まされてきた。今季の3月のACLE・光州戦では手指を脱臼しながらでも試合に出続けるファイティングスピリッツは持ちながら、闘志ではどうにもできない負傷もある。それでも「サッカーに向き合ってきたからこそ」(飯野)、いま改めてチームに欠かせない存在感を放っている。そんな姿にDF山川哲史主将も「僕も刺激になりますし、チームとしてもうれしい」と話した。

 この日のパフォーマンスに、魂を感じずにはいられなかった。本人もチャンスをものにする、と強い思いで試合に入ったのはもちろん。でも、「この試合だから入っていた訳ではなく、空回りしていた試合も含めて気持ちの面は僕の良さ。1試合1試合に懸ける思いは誰よりも強いと思いますし、そこの歯車が今うまくかみ合っているのかなと思います」と神戸のスタイルと同じく、飯野もまた、ぶれない積み重ねの上にハイパフォーマンスがあった。「全然満足はできていないですし、次、結果残せるようにまたやっていこうと思います」。望みの残る逆転優勝をはじめ、ACLEに4強まで勝ち進んでいる天皇杯。一丸で戦い抜く。

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