俳優の舘ひろし(75)が18日、主演映画「港のひかり」(藤井道人監督、11月14日公開)の舞台となった石川・輪島市を訪れた。撮影後の昨年元日の能登半島地震で大きな被害を受けた地にエールを送った。
舘が演じる元ヤクザと、事故で両親と視力を失った少年との12年にわたる友情を描いた同作は、2023年11~12月に、石川・富山の両県で撮影を実施。震災が発生したのはクランクアップの9日後だった。
日本三大朝市の一つとされるロケ地の輪島朝市は、地震による火災で多くの建物が焼失。震災後初めて跡地を訪れた舘は、朝市通りの変わり果てた姿に言葉を失い「僕の記憶と全く違っていてショックを受けた。こんなことになっているとは夢にも思わなかった」とつぶやいた。
市街から西へ10キロに位置する主要ロケ地・大沢漁港の住民も駆けつけ、舘との再会に涙を流す人も。舘は撮影で通っていた海沿いの道路が寸断されたことを知らされ「傷痕は本当に大きいものだった」と表情を曇らせた。
一方で、撮影時の思い出に話が及ぶと笑顔に。「おいしいクロワッサン店を見つけた。日本一好きで、今日もいただきました。輪島にはおいしいものがいっぱいある」と地元民に代わってアピールした。
午後には輪島朝市を再現したイベント「福幸(ふっこう)フェス」にもサプライズ登場して住民は大喜び。
〇…本作が映画デビューとなった少年・幸太役の尾上眞秀(13)は、作品内で舘と歩いた朝市通りが震災で更地になった現状に「草原みたいになっていてビックリしています」と素直な感想。青年になった幸太を演じた眞栄田郷敦(25)は「まだまだ復興途中だと身にしみて感じた。でも、街の方々が思っていたより前向きで明るくて、逆に力をいただいた」と語った。