◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 永田町では自民党総裁選の余波が続いている。決選投票で高市早苗氏が小泉進次郎氏を破り、女性初の総裁に就任した。

事前予想は「小泉氏有利」が多かったが、蓋を開けてみれば…である。

 取材を進めると、勝利の立役者は麻生太郎元首相だったことが分かる。表向き中立を装い、裏では麻生派の票を巧みに操った。各陣営に票を分散させ、最後に高市氏へと集約させた。一方の小泉氏は菅義偉氏、岸田文雄氏と、2人の元首相の支援を受けながら完敗。勢力図は一変した。

 「緩んで負けた」と振り返る小泉陣営関係者は、ずっと「やばい」と言っていた。記者会見でカンペ500回チラ見、ステマ投稿、過去の発言掘り起こし問題など盛りだくさんだったが、最も気にしていたのは陣営で勝ったかのような言動が続いたことだった。先走りの組閣プランがあったり、投票前日のプチ宴会など、勝利に徹する姿勢が見られなかったという。

 勝敗の行方は私も分からなかった。メドがついていれば「〇〇新総裁誕生」という記事を用意して速報に備える。今回はデスクから「誰の原稿が必要か」との相談が数回あった。

私は「微妙です」と答え続け、投開票前日は「高市さん、林さん、小泉さんで…」などと、候補者5人のうち3人の名を挙げる腰の引けよう。取材するうちに「確信」が持てなくなっていった。

 高市勝利の余韻もつかの間、26年続いた自公の連立が解消された。予断は一切許されないのが政治の世界。一寸先は闇のままだ。(社会担当・久保 阿礼)

 ◆久保 阿礼(くぼ・あれい) 2003年入社。運動部、07年から文化社会部。

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