女優・倍賞千恵子、俳優・木村拓哉が20日、都内で映画「TOKYOタクシー」(山田洋次監督、11月21日公開)の完成披露舞台あいさつに出席した。

 東京を舞台にタクシー運転手(木村)と、人生の終活に向かう85歳のマダム(倍賞)によるヒューマンドラマを描く。

 本作が91作目のメガホンの山田監督は「上映後の場に立つのは“判決を受ける被告”みたいな思いです」とちゃめっ気たっぷりにあいさつ。観客から「待ってました!」「よかったよ!」と歓声が飛ぶと「いい映画だったと思ってくれたら、こんなにうれしいことはない」と目尻を下げた。

 主演の倍賞は、「男はつらいよ」シリーズなどでタッグを組んできた山田監督作品の出演が今作で70作目となり「生涯忘れられない作品になりました。山田組は私にとって学校のような存在。お芝居的な学校ではなく、人間としてどう生きていくか、演じながら考えさせられる」とうなずいた。

 倍賞は、実写では初共演となった木村の気配りに感激したエピソードを披露。「今回はあまり経験のないメイクやネイルをする役柄だったので、撮影中も何度も(スタッフにネイルを)手直ししてもらって。暗がりでやっていると、木村君がパッと寄ってきて、スマホのライトで明かりを作ってくださった。本当に助けられました」と感謝した。

 木村は、倍賞演じる主人公を乗せて走行するシーンについて「実は一回も(実際の道路を)走っていない。全てスタジオで取っている」と告白し、会場は驚きに包まれた。最新技術を駆使して撮影を行ったが「テクノロジーよりも、あくまで人の気持ちが乗っかった現場だった。

作品を通じて、愛することの幸せや愛されることへの感謝を感じてもらえたら。ぜひ何度も“乗車”してください」とリピート鑑賞を呼びかけた。

編集部おすすめ