◇体操 世界選手権 第4日(22日、ジャカルタ)

 男子個人総合の決勝が行われ、東京五輪同種目の金メダリスト橋本大輝(日本生命・セントラルスポーツ)は、合計85・131点でパリ五輪銀メダルの張博恒(中国)らを退け優勝し、内村航平以来、史上2人目の3連覇を達成した。昨夏のパリ五輪で3冠を達成した岡慎之助(徳洲会)は5位だった。

 最後の鉄棒。終末技を決めて着地をピタリと決めると息を吐き出し、左手でガッツポーズをつくって、金メダルを確信した。

 今大会は国内や欧州での大会と異なる中国製の器具。はねやすい床運動のフロアは直前の強化合宿で唯一、導入がなく、予選では着地でミスが出たが、決勝ではしっかりと決めボーナス0・1点を加点し、14・000点。王者らしく修正能力の高さをみせ、ここから勢いに乗り、4種目目の跳馬で14・466点、5種目目の平行棒で14・433点と高得点を連発し、他を寄せ付けなかった。

 今年4月、プロに転向した。大きな決断だったが、競技の普及を目指し、同じようにプロに転向したレジェンド内村航平の背中を追った。4月に全日本選手権ではライバルのパリ五輪3冠の岡慎之助(徳洲会)との激闘を制し、5連覇を達成したが、5月のNHK杯は体調不良を押して出場し、2位にとどまった。大会後、病院で検査し、リンパに異常があることが判明し、菊池病(亜急性壊死性リンパ節炎)の可能性を指摘された。

 パリ五輪の個人総合で6位に終わり連覇を逃した。3年後のロサンゼルス五輪に向け踏み出した今季の道のりも決して平坦ではなかったとはいえ、敗戦から原点に返り、ジャカルタ入り後は連覇への意識を否定し、自然体で挑んだ大会で、頂点を奪い返してみせた。すべてはロスで「金メダル」を取るため。

東京五輪王者は、進化を続けながら大舞台へ走り続ける。

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