プロ野球ドラフト会議が23日行われ、北海学園大の工藤泰己投手(22)が広島、札幌日大の窪田洋祐外野手(18)がオリックスから4位、北海学園大の高谷舟投手(22)がオリックスから5位指名を受けた。健大高崎・石垣元気投手(18)がロッテから、仙台大・平川蓮外野手(21)が広島から1位指名を受けるなど、北海道関連の支配下指名は10人。

2005年の7人を上回り、史上最多で、育成を含めた15人の指名も、昨年の10人を超え史上最多となった。

 幼なじみが指名されてから約15分。高谷の名前が呼ばれると、会場から歓喜の声が響き渡った。「焦っていて、だんだん呼ばれないんじゃないかと思った。長かったけど、うれしい」。額の汗がその緊張感を物語っていた。

 札幌日大では控え投手。最後の夏に背番号1を着けた前川佳央(日大4年)が一歩先を行き、その影に隠れる存在だった。それでも、将来性を感じていたのが同校の森本琢朗監督(44)。入学当初の高谷に「高校では輝いた結果が出ないかもしれないけれど、大学では絶対に良くなる」と声をかけていたという。事実、全国的には無名の存在だったが、高校3年時には日大から声がかかるほどのポテンシャルを秘めていた。

 東都リーグの名門からの誘いは断り、右腕が選択したのはスポーツ推薦のない地元大学だった。

母・美紀さんが毎日手作りしてくれる鶏胸肉、ゆで卵、フルーツ、サラダが入った弁当を昼に食べながら肉体を強化。1年秋にリーグ戦デビューすると、全国区の選手に上り詰めていった。

 平日は会社員として働く母・美紀さん。中学時代は毎週末のように札幌の自宅から車で1時間以上かけて南幌町の練習場に送迎してくれるなど、女手一つで育ててくれた。「恩返しをしないといけないですね。プレーはもちろん、何か欲しい物を買ってあげないと」。離れて暮らすことになる母への思いも胸に、プロの舞台に挑戦する。

(島山 知房)

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