◆明治安田J1リーグ ▽第35節 柏2―0横浜FC(25日・三協F柏)

 8試合が行われ、2位の柏はホームで横浜FCに2―0で勝利した。後半に2点を挙げ、1―1で京都に引き分けた首位・鹿島との勝ち点差を1に詰めた。

残り3試合で2011年以来、2度目の優勝を目指す。鹿島はFW鈴木優磨(29)が試合終了間際に同点弾を決め、首位をキープ。試合がなかった20位・新潟は、J1残留圏内の17位・横浜Mが広島に3―0で勝利し、残り4試合で勝ち点差15となったため、4季ぶりのJ2降格が決まった。

 柏ではおなじみの光景だった。後半27分、MF山田が均衡を破るミドル弾を決めると、ベンチ前で輪ができた。ベンチ前でロドリゲス監督(51)がスタッフと抱き合うところに、山田らイレブンが駆け寄り、喜びを分かち合う。その4分後にはMF仲間がだめ押し弾。3連勝で、最大で勝ち点7差あった首位・鹿島と勝ち点1差に迫り、指揮官は「攻守にわたって素晴らしい試合を出来た」と選手をたたえた。

 前半こそ自陣で守備ブロックを作る相手に苦労したが、後半にギアを上げて攻略した。2得点は、いずれも途中出場の選手。指揮官が「サブメンバーたちが試合を決めるのが現代サッカー」という考えをもとに振るう采配が、チームの一体感を高めている。9月に日本代表に選出されたエースFW細谷が良い例で、33試合中22試合が途中出場。

チームトップの8得点を記録し、大きく貢献している。

 このチームは先発=序列上位ではなく、ベンチにいても選手のモチベーションは高い。日本代表に招集歴があるMF熊坂が長期離脱した時には、MF中川がすぐに穴を埋めた。試合終盤に強く、2点ビハインドから逆転した第27節浦和戦(4〇2)のように劇的な逆転劇も珍しくない。仲間は「交代選手の役割が、スタメンと同じくらい重要であると感じてきている」と明かす。

 危なげない試合運びで白星をつかんだが、ロドリゲス監督は「一試合一試合集中してプレーすることが重要。順位表と勝ち点差に気持ちを向けることは意味がない」と引き締めた。「みんなの気持ちと頭とイメージが一致してきた」と仲間。14年ぶりの優勝へ、残り3試合も全員で勝利をつかみにいく。(浅岡 諒祐)

 ◆リカルド・ロドリゲス・スアレス 1974年4月3日、スペイン・オビエド出身。51歳。17歳で左膝十字靱帯(じんたい)を断裂し選手生活を断念すると、オビエド大学でスポーツ科学の博士号を取得。

98年からオビエドで指導者生活を始める。U―17サウジアラビア代表、ジローナ、タイの3クラブの監督を歴任すると、17年から20年までJ2徳島を指揮。21年から22年までは浦和を率い、21年は天皇杯優勝、22年にはACLの決勝進出に導く。

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