元小結で東幕下3枚目の遠藤(本名・遠藤聖大、追手風)が現役引退を決意したことが27日、関係者の話で分かった。角界屈指の人気力士だったが幕内だった7月に右膝の手術をし名古屋場所を全休。

秋場所も全休し、九州場所(11月9日初日・福岡国際センター)は東幕下3枚目に転落していた。

 人気力士がついに引退を決断した。遠藤は日大でアマチュア横綱になり、同じ石川出身で大学の先輩である追手風親方(元幕内・大翔山)が師匠を務める追手風部屋に入門。会見では「同じ石川県出身で、日大から唯一の横綱になった輪島先輩が目標です」と決意を誓った。

 幕下10枚目格付け出しで13年春場所に初土俵を踏んだ。大いちょうの結えないざんばら髪で快進撃を続け、同年秋場所では初土俵から所要3場所の昇進で、昭和以降最速。「最速と言われるのはうれしい」と喜んだ。新十両の翌場所に新入幕は、15日制では11年秋場所の隆の山以来、6度目だった。

 端正な顔立ちから「スー女ブーム」の立役者となった。女性ファッション誌「an・an」の「スポーツ界の王子様特集」では「氷の王子様」の羽生結弦さんと並び「土の王子様」と紹介された。協会の女性限定の「お姫様抱っこ企画」では8132人から応募があった。女性を抱っこし「いい稽古になりました」と照れた。

11年の大相撲八百長問題から人気低迷していた角界を救った。

 14年初場所で歴代2位となる初土俵から所要6場所での三賞(敢闘賞)受賞。同年夏場所で鶴竜から初金星。順調に番付を上げた一方で15年春場所で左膝半月板損傷など全治2か月で途中休場。その後はケガと戦いながら18年夏場所で新小結に昇進した。「けがをしてからは私生活でも痛みを感じて、常に(体調を)考えるようになった」と苦しい戦いだったと明かしていた。

 昨年2月には能登半島地震の被災者が暮らす地元・穴水町の避難所を訪問。「生活するのも大変な中、皆さんの前向きな姿を見ると僕も励まされた」と神妙な表情で語った。西前頭7枚目だった25年名古屋場所前に右膝の手術を決断し、全休。8月の健康診断では引退の可能性について問われて「いやいや。リハビリ頑張ります」と笑顔も見せていた。秋場所も今度は左膝手術で全休。

九州場所の新番付では13年夏場所以来の幕下へ転落が決まり、引退を決断した模様だ。

 ◇遠藤の歩み

▽1990年10月10日、石川・穴水町で生まれる。

▽2006年 金沢学院東高に入学。

▽07年 高校相撲金沢大会、選抜十和田大会で優勝。

▽09年 日大入学。

▽12年 前年の右膝前十字じん帯断裂から半年リハビリし、4年でアマチュア横綱のタイトル獲得。

▽13年2月 追手風部屋に入門を決める。

▽同3月 春場所で幕下10枚目格付け出しで初土俵。

▽同7月 初土俵から所要2場所となる名古屋場所で新十両。優勝を果たす。

▽同9月 秋場所を当時、昭和以降最速となる初土俵から所要3場所で新入幕。

▽14年1月 初場所で歴代2位となる初土俵から所要6場所での三賞(敢闘賞)受賞。

▽同5月 夏場所で鶴竜から初金星。

▽15年3月 春場所で左膝半月板損傷など全治2か月で途中休場。

▽16年3月 右足関節捻挫のため初場所で途中休場した影響で、春場所で十両転落。11勝を挙げて、1場所で幕内復帰。

▽18年5月 前頭筆頭だった春場所で9勝し、夏場所で新三役(小結)。だが右上腕二頭筋を痛め途中休場。

▽19年10月 5月に一般女性と結婚を発表。

▽20年1月 初場所で鶴竜と白鵬と2日連続金星を獲得。殊勲賞も受賞。

▽24年5月 春場所で夏場所は負け越し8年ぶりに十両転落も1場所で復帰。

▽25年 名古屋場所全休。右膝を手術し、十両に転落した秋場所も全休。

幕下転落が確実になった。 

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