俳優の小澤雄太と女優の日比美思(みこと)が、11月1~9日に東京・紀伊國屋ホールで一座二部作として上演されるつかこうへいさん作の舞台「熱海殺人事件」「ストリッパー物語」でそれぞれ主演を務める。このほどスポーツ報知の取材に応じ、意気込みなどを語った。

 「熱海―」で殺人事件を捜査する刑事を演じる小澤は「40歳という節目に超えなきゃいけないハードルが来た」と強い決意をにじませた。「今、20代の動きをしろって言われたら多分できないと思う。その代わり、経験をいかした色気や説得力みたいなものを出していかなきゃいけないとなった時に、この作品に挑戦できるのは良いタイミングだなと。ものすごく気合が入っています」。より深みのある役者へと進化するチャンスと位置づけている。

 「ストリッパー物語」でヒモ男と恋人関係にあるストリッパーの女性を演じる日比は、昨年にヒロインを務めた「蒲田行進曲」以来、2度目となるつかこうへい作品への出演。「また作品に携われることに喜びを感じています」としつつ「前回はその時の精いっぱいを出し切るだけという感じだったので、今回はもうちょっと楽しむ余裕もあったらいいなという願望もあります」と背筋を伸ばした。「蒲田―」では、自身過去最大規模の膨大なセリフ量を経験。「キャパを広げてもらった感覚が強い。今回でもその部分をいかせたらと思っています」と自信も持ち合わせて挑む。

 2人は「蒲田―」で共演しており、日比の印象について小澤は「本当に素晴らしい子。透き通るような印象をお持ちで、なおかつお芝居に入ったら芯でぶつかってくる」と絶賛。

「普段はポワーンとしてる感じの人なのに、舞台になると一気にその役に入り込んで自分の持ってる全てを出してくれる。体当たりしてきてくれる感じがあるので、お客さんはみんな引き込まれるんじゃないかなと思います」と太鼓判を押した。一方の日比は、小澤を「頼れる兄貴」と表現した。「稽古場でも明るく接してくださって『この人がいたら大丈夫』ってみんなが思うような大きい背中だった。作品のこともすごく知っていらっしゃいます」と絶大な信頼を寄せている。

 映像作品にも出演する2人だが、舞台に対する思いは人一倍強いものがある。小澤は「昨今、演劇自体の火が消えつつある状況にあることは拭えないと思う。だけど、生の良さだったり生の素晴らしさを見に来ていただけるのは皆さんの励みにもなるんじゃないかなと思います」と力説。「生は何にも変えられないものがあるし、思い出に残る。足を運んで自分の目で見てもらえたらなと思います」と呼び掛けた。

 日比も「人間が熱くぶつかる姿は劇場でしか見ることができないと思う」と続ける。「こういう素晴らしい作品に出演させていただけることに覚悟を持たないといけないと思っています」。

熱い思いを胸に、歴史ある作品に挑んでいく。

 ◆小澤 裕太(おざわ・ゆうた)1985年10月8日、東京都出身。40歳。社会人生活を経験後、2009年の「第1回劇団EXILE」に合格し、芸能界入り。舞台を中心に活動。178センチ、血液型B。

 ◆日比 美思(ひび・みこと)1998年9月20日、神奈川県出身。27歳。2009年、「Dream5」のメンバーとしてデビュー。17年、TBS系「マジで航海してます。」で女優デビュー。身長167センチ。

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