ドジャース大谷翔平投手(31)が27日(日本時間28日)、ブルージェイズとのワールドシリーズ(WS)第3戦でまた新たな伝説をつくった。4打席目までに2本塁打、2二塁打の4安打3打点と大暴れすると、9回の5打席目からは4打席連続の申告敬遠を含む5四球と徹底的に勝負を避けられる事態に。

1試合4長打はWS史上119年ぶり2人目で、9出塁はポストシーズン(PS)初。試合は延長18回、6時間39分の死闘をフリーマンのサヨナラ弾で制し、対戦成績を2勝1敗とした。

 鳴りやまないドジャースファンのブーイングの中、大谷は静かにバットを置いて一塁へ歩いた。同点の9回1死、走者なしの状況にもかかわらず、申告敬遠された。そこから11回2死、13回2死三塁、15回1死と異例の4打席連続敬遠。延長17回2死一塁では打席に立てたが、4球連続でボールとなる変化球でストレートの四球。あわよくば引っかけて凡打―という相手の狙いには乗らなかった。

 「最後、打ちにいきたい場面で、しっかり(気持ちを)押し殺しながらと、自分のゾーンで対処できたのが一番良かったなと思います」

 第5打席から5打席連続で勝負を避けられたが、それまでの大暴れが、異例の展開につながった。初回の1打席目に右翼へエンタイトル二塁打し、3回には右越えソロ。2点を追う5回には左中間へ適時二塁打を放って同点劇を演出すると、勝ち越された直後の7回には左中間へ同点ソロ。何度も絶叫するなど感情をあらわに、ダイヤモンドを一周した。WSでは119年ぶり2人目となる1試合4長打。

 全9打席で出塁し、第2戦の4打席目から10打席連続出塁を継続している。1試合9出塁はメジャータイ記録で、PSでは初。6時間39分の死闘に終止符を打った延長18回のフリーマンのサヨナラ弾が出ると、跳びはねて喜びを爆発させた。朗希とともに、ブルペンで肩をつくっていた山本に駆け寄って日本人トリオで抱き合った。

 今PS3度目の複数本塁打で同一シーズンのPS8本塁打は球団タイ記録で、史上2位タイ。PS通算11発は松井秀(ヤンキース)の10発を一気に抜き去って日本人単独トップに立った。「うれしい気持ちもありますし、ほっとしたような気持ちもあります」。それでも「勝ったのが全てだと思う。今日、自分のプレーというのは後から振り返ればいいと思う」。第4戦の先発登板へ向けて、試合終了約1時間後の日をまたいだ午前0時45分すぎにクラブハウスを出ていった。

 ロバーツ監督は「ワールドシリーズ史上最高の試合のひとつだ。信じられないけど、また今夜試合がある」と日付が変わって行われた会見で思いを吐露。

ド軍は10投手の継投で、ブ軍も9投手で救援投手を使い切り、ベンチに残る野手は0。両軍計44人が出場したまさに総力戦だった。

 激闘を制して2連勝で2勝1敗と2連覇へ向けてリードした。17日のナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦では7回途中無失点10奪三振&3本塁打で歴史に名を刻んだが、またしても伝説をつくった。第4戦は先発マウンドに上がる。「早く帰って寝て、明日に備えたい」。次はどんな歴史を塗り替える姿を見せてくれるのか。大谷の歩みはまだまだ止まりそうにない。(安藤 宏太)

 【大谷記録メモ】

 ▽9出塁=ポストシーズン(PS)初

 ▽4長打(2本塁打&2二塁打)=ワールドシリーズ(WS)2人目で1906年F・イズベル以来

 ▽4敬遠=PS初

 ▽PS通算11本塁打=球団歴代4位タイ(マンシー15、シーガー13、ターナー13)。日本人選手のPS通算本塁打で松井秀喜の10本を抜く

 ▽延長18回=2018年WSドジャース―Rソックス第3戦以来2度目の史上最長タイ。14回以上は5試合目で、PS全体でも15試合目。4年連続で延長戦

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